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レポート:【第88回ウェビナー】「よなよなエール流ファンとのコミュニケーション術」

2022.07.25

地ビールブーム終焉もEC活用で起死回生!

桑江:ファンとの絆を大切にしていることで知られる御社のコミュニケーションの根底にあるのは「究極の顧客志向」だと思います。このような組織文化は、どんな経緯で生まれたのでしょうか。

桂馬:創業した1997年は地ビールブームの真っただ中で、その勢いに乗って会社を成長させることができました。
しかし、1999年を境にブームが衰退すると、それまで扱ってもらっていた小売店での販売ができなくなり、最後に残ったECに注力せざるを得ない状況になったのです。

桑江:ECの活用を積極的に選んだわけではなかったのですね。

桂馬:ただ、ECを始めてみると、お客様からダイレクトな反響がありました。 「通販で買えるようになって本当にうれしい」といった声がたくさん届き、「よなよなエール」を好んで飲んでくださるお客様の存在が明確になったということです。
また、お客様に直接情報を伝えられるのもECの良さだと感じました。
ビールには原材料や開発・製造過程はもちろん、パッケージ、ネーミングなど数多くのこだわりポイントがあります。
それらを丁寧に紹介する長文のメールマガジンを配信したところ、「面白かった」という反響をいただき、売り上げを伸ばすきっかけをつかめました。

桑江:なるほど。

桂馬:ファンのお客様にしっかりと支えていただいているということが見えてきたのが、今も脈々と続く「究極の顧客志向」の根底にあると思います。

「究極の顧客志向」を体現するファンイベント

桑江:そうした考え方に基づく御社のコミュニケーションのアウトプットは、ファンイベントというイメージが強いですね。

桂馬:お客様とのコミュニケーションがうまく取れてくると「ファンの皆さんはなぜ、よなよなエールが好きなのだろう?」ということまで考えを深められるようになりました。
「理想像の実現」「癒される」「自己確信」など、よなよなエールを通して感じていただける情緒的なベネフィットをもっと強いものにしようと設定したアウトプットの形が「知る・学ぶ」「交流」「共創」の要素を盛り込んだファンイベントです。
最もメジャーなファンイベントは醸造所見学ツアーで、新型コロナウイルスの感染拡大前までは年間3,000人ほどが参加してくださりました。
また、青空の下、できるだけおいしい状態のクラフトビールを最適なグラス、料理とのペアリングで味わっていただく「超宴(ちょううたげ)」というイベントも好評です。毎回の参加者数は1,000人を超えるほどになりました。
軽井沢で開催したときはスタッフとお客様がキャンプファイアを囲んで交流し、お台場ではファンの方々にボランティアとして運営をサポートしていただき、一緒にイベントをつくり上げたこともあります。

桑江:コロナ禍以降は、オンラインイベントも好評ですよね。

桂馬:3月に「裏通りのドンダバダ」という新製品の発売記念イベントをYouTubeライブで配信しました。
開発スタッフがこだわりなどを語っただけでなく、参加者からの質問を受けて交流をしながら一緒につくり上げることができたと感じています。
リアルイベントと比べると、お客様同士の交流が減ってしまうのは確かですが、オンラインには遠方のお客様も参加しやすいメリットがあるので、「共創」の要素をいかに生み出せるかを考えています。

桑江:「超宴」の集客の初期段階では、どんな取り組みをされたのですか。

桂馬:最初は小さい規模で始めましたが、お客様に喜んでいただいたので、回数を重ねて規模を大きくしたらもっと良いのではないかと考えました。
そうして何年か繰り返している中でファンがファンを呼び、楽しんでくださる方が増えたということですね。

UGCの活用などでクラフトビールの楽しみ方を提示

桑江:インターネット通販「よなよなの里」で実践されているコミュニケーションがあれば、お聞かせください。

桂馬:年末年始に販売している「マジ福袋」に詰め合わせる「福ビール」は味もパッケージも毎年変えていて、アンケートによるお客様とのキャッチボールを通して商品開発を進めています。
通販の強みは、クラフトビールの魅力をお客様が飲用されるシーンにお届けできることです。だから、「マジ福袋」には「福ビール」を開発したプロセスやこだわり、おいしく飲んでいただくための料理のレシピ、テイスティングの作法などをお伝えする媒体物を同梱しています。
それは「知る・学ぶ」というコミュニケーションの一環でもあるということですね。公式サイトにも、その年に出る「福ビール」のコンセプトやイメージをお伝えする記事を掲載しています。
なお、今年の冬に発売する「福ビール」に関しては、味と香りの好みをお客様に投票してもらう初のイベントを公式LINEアカウントで実施しました。

桑江:御社はSNSも上手に活用されていますね。

桂馬:2020年12月から、お客様がInstagramなどに投稿してくださったUGC(ユーザー生成コンテンツ)を公式サイトに表示し始めたところ、「ひらけ!よなよな月の生活」というサブスクリプション商品のお買い上げ率が1.16倍に向上しました。
UGCはおいしそうな料理と一緒の画像やアウトドアのシーンなどで撮影されたコンテンツを取り上げ、クラフトビールの楽しみ方を具体的にイメージしてもらえるよう工夫しています。

自社のミッションに共感できるのが強み

桑江:社員の皆さんは自社、自ブランドが大好きということが伝わってきますね。そのような企業文化は、どのようにして生まれたのですか。

桂馬:会社が目指している方向性への共感から生まれたもので、「ビールに味を!人生に幸せを!」というミッションは、すごく良いと感じています。
会社としてはまだまだ小さくて不完全な部分もありますが、未知の分野でも必要なことがあればベンチャー精神で学びながら進めていくというスタンスを貫いているのがヤッホーブルーイングという会社です。
さらに、その先にある会社の未来に自分たちが共感できるということが、多くのファンの方々の共感にもつながっているのだと思います。

桑江:ファンベースに徹したコミュニケーションを拝見していると、社員の皆さん自身もファン目線をお持ちのような気がしますね。

桂馬:私自身も、この会社でビールの世界観が広がりました。そのような新しい感覚を体験していただけるという選択肢を用意することが、我々の大事な使命だと思います。
短期的な売り上げ・利益の追求より、中・長期的にお客様に喜んでもらえる取り組みを優先するのが「究極の顧客志向」です。
それを目指すことでファンの皆さんとの絆がさらに強まり、会社も成長できると確信しています。

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