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レポート:【第89回ウェビナー】「リスクが減る!Voicyが考える”声”のコミュニケーション活用法」

2022.08.02

コロナ自粛で価値が見直された音声配信

桑江:日経クロストレンドの「トレンドマップ2022上半期」で、「音声SNS」がマーケティング部門の1位に輝きました。
大きな理由は、新型コロナウイルスの影響で他人と直接的な交流をしにくくなり、人間同士のつながりの大切さが認識されたからだと思います。
その中で、改めて注目されたのがラジオです。一時は「終わったメディア」とも揶揄されましたが、これまでラジオをあまり聴かなかった10代女性なども含めてリスナーが増えています。

長谷部:私自身も毎週の放送を楽しみにしているラジオ番組があり、radikoで聴いています。radiko自体は10年以上も前から存在するので、純粋に「ラジオを聴きたい」という人が増えたのだろうと思いますね。

桑江:2021年1月下旬からは、Clubhouseが一気に広がりました。
ブームとしてはすぐに終息してしまいましたが、音声配信サービスの市場は一般の方々の注目を集め、Clubhouseに追随しようという動きが出たのも確かです。
音声配信サービスのメリットは、仕事や家事などをこなす傍ら「ながら聴き」ができるということ。動画配信系サービスなどと比べ、コンテンツの制作コストも低く抑えられます。
一方、デメリットとしては、大手SNSよりユーザー数が少ないというのが1つ。また、文字や画像、動画のように目に見えるコンテンツがあるわけではないので、話題の全容やサマリーを識別しにくい点も挙げられるでしょう。

ありのままの感情や本人性を伝えられるのが利点

長谷部:テキストと違い、3次元のアプローチで情報を伝えられるのが音声だと考えています。
例えば「雨が降っている」という話をする場合、テキストで伝えられるのは「今日は雨」というX軸の基本情報と、「しとしと降っている」というY軸の周辺情報です。
でも、音声なら「うれしそう」「残念そう」といった感情や本人性もありのままに伝えられます。人間同士のコミュニケーションのベースになるのは、まさにそのZ軸ではないでしょうか。

桑江:確かに、文字だけですべてを表現するとなると、補足をせざるを得ないことも多いですね。
Twitterの投稿が炎上する理由の最たるものは、文章に込められた真意を曲解されたり、誤解されたりしてしまうことだと思いますから。

長谷部:テキストの場合、いまだに「(笑)」「w」「!」といった文字・記号や絵文字で補足されているのが現状ですが、企業としてはそうした方法を使えない業種・業界もあるでしょう。
でも、音声ならコンテクストのようなものを損なうことなく、伝えたいことを伝えられるのが魅力です。

桑江:なるほど。

長谷部:一般的な情報伝達・取得の経路は2つです。1つは、文章や動画を手でつくって目から入れる方法。もう1つが、口でつくった音声を耳から入れるというものです。
目から入れるとなると、パソコンやスマートフォンの画面のような中間媒体を必ず挟まなければなりません。
一方、耳から入れる場合、発信者と受信者は同じ振動情報を共有できるため、本人性がより伝わりやすくなると思います。

桑江:普段の生活では双方の違いをあまり意識していませんでしたが、耳からならリアルなコミュニケーションと変わらない状況で情報を伝えられるというのは納得できますね。

齟齬のないコミュニケーションが生む炎上のしにくさ

長谷部:目から入る情報の方が多いのは確かですが、伝わることが多すぎると本質的に届けたい情報が削ぎ落とされてしまう恐れもあると思います。
例えば、1時間半のインタビューをそのまま記事にすると、読み切れないほどの文字数になってしまいますが、音声なら編集されていなくても聴いていられるでしょう。
世の中に氾濫する情報が無添加のまま届くことはほぼないと言える今の時代は、本人性の価値がより高まっていると思います。
それは個人だけでなく、企業活動にも当てはまるはずです。各々の企業らしさをストレートに齟齬なく伝える手段として音声配信が注目されていると思いますし、炎上もしにくいという手応えがあります。

桑江:芸能人を例にとってみても、ラジオは言葉だけだからこそ自分の素を出せるという感覚が昔からあるように思えますね。

長谷部:名声を極めた後もニッチなリスナー向けのラジオ番組を持ち続けている芸能人が少なくないのは、自分の口で自分の思いを話せる場所が欲しいと考えているからでしょう。
ラジオは聴き手に気持ちの抑揚などが齟齬なく伝わります。だからこそ、これほどコンプライアンスが厳しい時代でも「バカ」「お前」といった攻撃的な言葉使いが許容されていて、炎上もクレームも発生しにくいわけです。
話し手と聴き手が良好な関係性を保ちやすいというのが、ラジオの魅力だと思います。

桑江:声というのは、話し手の人となりを伝えてくれますからね。

長谷部:企業やブランドも、自分たちが大切にしている価値観や世界観などの本音を伝えることで共感を集められると思います。
良いものをつくれば黙っていても売れるという時代ではない今、「どうしてこの仕事に取り組んでいるのか?」「どんな人たちが働いているのか?」、あるいは「どんな失敗をしたことがあるのか?」といったストーリーを共有することが大事です。
それらに共感してもらえるファンができれば、企業やブランドを一緒に成長させることもできるでしょう。

桑江:ラジオのように、リスナーとのコミュニティーを形成することが大切なのですね。

マスとのコミュニティーも形成できるのが強み

長谷部:多くの方に画一的な情報を届けるだけではなく、自社の価値観に共感して関係を持ち続けようとする人たちへのコミュニケーションが求められていると思います。
マスに情報を出すというより、規模は小さくても常に応援してくれるマスとのコミュニティーを持つのが望ましいということでしょうか。

桑江:マスとのコミュニティーに関し、具体的な成功例があれば教えてください。

長谷部:ECサイト運営などに携わるクラシコムは2018年5月から、インターネットラジオ番組「チャポンと行こう!」を隔週日曜に配信しています。
同社で働く女性2人が「人生に目標って必要?」「40代になった今、夢はある?」といったテーマで話をしていて、2022年1月には累計の再生回数が1,000万回に達しました。
番組の内容は自社のサービスに直結しませんが、結果的にリスナーとの関係性の深まりを体現しています。

桑江:ぜひ、聴いてみたいですね。

長谷部:もう1つは、グロービス経営大学院です。平日に毎日5分間、5人の講師が日替わりで「ちょっと差がつくビジネスサプリ」というVoicyのコンテンツを放送しています。
75%超のリスナーは聴取前に同大学院の講座受講や書籍購入の経験がありませんが、全体の半数以上がヘビーリスナーです。
結果的に新規の方々に同大学院のサービスを認知させ、期待値を創生することにもつながっていると思います。

桑江:SNSを活用している企業は多いと思いますが、音声というピースをはめ込むことでファンづくりにうまく役立てられる気がしますね。

リアルに匹敵するファンマーケティングを手軽に実現

長谷部:もちろん、音声だけですべてカバーできるわけではありませんが、それほど手間をかけてコンテンツを作り込むことなく伝えられるのはメリットだと思います。
リアルなイベントやセミナーでファンを増やしていく方法もあるでしょうが、それに匹敵することをオンラインでできるのが音声配信サービスですね。

桑江:音声はローコストのコンテンツなので、こまめに更新しやすいのもメリットと言えます。
リスナーとしては常に最新情報を提供してもらえればうれしいですし、ずっとつながっているという安心感も得られますから。

長谷部:音声のメッセージは齟齬なく伝わるから何かを発信した際のリスクを減らせますし、炎上もしづらいという文脈は間違っていません。
でもそれ以前に、企業やブランドにとっては良好な関係性を築いたファンの方々がいてくださる状況をつくり出せることの方が心強いと思いますね。

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