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加速するデジタル技術と我々が背負ったWebリスク

公開日:2018.05.01 最終更新日:2022.06.10

※この記事は雑誌『美楽』2018年5月号の掲載内容を一部修正の上、転載しております。

加速するデジタル技術と我々が背負ったWebリスク(1)

「まるでSF小説のようだ」
人工知能(AI)を始めとする、デジタル技術についての報道を見るにつけ、私はそのように感じます。

人間の質問に適切な回答を返す人形や、歴史的な画家の筆致を精巧に再現する機械、運転手がハンドルを握らなくても目的地まで運んでくれる車に空飛ぶ宅配便。月並みな表現ですが、我々が子どものころに夢見た世界が、いよいよ実現しつつあるようです。

しかし、デジタル技術が進歩したことにより、これまで我々が夢にも思わなかった危険に脅かされていることは、皮肉と言わざるを得ません。

2018年5月17日、セキュリティ企業A社が衝撃的な調査結果を公開しました。「日本人の個人情報2億件以上が含まれたファイルを中国の脅威アクターが販売目的で広告掲載」と題した記事には、日本人のものとみられる大量の個人情報がネット上の闇サイト(ダークウェブ)で取引されていたと記されていたのです。具体的には氏名、認証情報(ID・パスワード)、メールアドレス、生年月日、電話番号、住所といった情報が取引されていたといいます。

実際にはデータに一部重複があり、2億件に満たないとのことです。しかし日本の人口が約1億3000万人であることを鑑みれば、これほど膨大な個人情報が取引されていたという事実にはやはり目を見張ります。
ダークウェブの元になった通信技術も、もともとは高い匿名性を利用して、国家の機密情報や大学の非公開論文をやり取りするために開発されたものです。その技術が悪用された結果、違法取引の温床となったのです。
歴史を紐解いても、新しい技術に新しい脅威はつきものです。デジタル技術や通信技術の進歩が目覚ましい昨今、我々が曝されているWebリスクも日々脅威を増しています。

目まぐるしく情況が変化するデジタル分野において、自社だけで十分な対策を行うことは至難です。弊社の様なWebリスク対策を生業とする企業は、日夜デジタル技術の改善と研究を行っていますので、不安に思われる方は是非一度ご相談下さい。

加速するデジタル技術と我々が背負ったWebリスク(2)

ときに「嘘」は「真実」を作り出すことがあります。それはデジタル技術の発達により「フェイクニュース」として大きく取り上げられるようになりました。
Web上にアップロードされた情報は、一瞬で世界中に発信されます。それが多くの人にとって興味がある内容であれば、無数の人間の手で複製がくり返され、爆発的に拡散します。そして不特定多数の支持を得ることで、拡散された情報は真実味を帯びることになるのです。

2018年5月13日、「蛞蝓亭」という、うどん屋を自称するアカウントの投稿が、大手SNSの「ツイッター」で話題になりました。内容は次の通りです。「無断キャンセルに合いました。(中略)国際信州学院大学の教職員の皆さん、二度と来ないでください」。この投稿に対して怒りの声や同情の声が次々に飛び交いました。
弊社の調査では5月14日の「国際信州学院大学」に関する投稿は14万件、「蛞蝓亭」に関する投稿は6万6千件に上りました。5月12日までは1日あたりの投稿数は百件にも満たなかったので、いかに情報の拡散力が強かったのか分かります。ただ、この出来事で最も重要なことは「蛞蝓亭」という飲食店も「国際信州学院大学」という大学も実は存在していなかったという点です。

「蛞蝓亭」の仕掛け人は架空の大学のホームページを作り、複数の架空アカウントを用意することで「蛞蝓亭」と「国際信州学院大学」が実在するかのように見せかけたのです。
この出来事だけでは単なる珍事に過ぎませんが、特定の企業や個人を傷つける目的で行われていたらどうなっていたでしょうか。本人には全く身に覚えのない「真実」が公然と曝されていたかもしれません。そうなれば、個人であれ法人であれ、大きな損害を受ける可能性が高いです。

もしもその様な被害を受けた場合には、情報の拡散前にいかに対策を講じられるかが重要です。いつ何が起きてもいいように、有事の際のガイドラインを準備しておくことが重要です。

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