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今こそ考えるべきデジタルクライシスの話(4)

公開日:2019.06.01 最終更新日:2023.06.08

※この記事は雑誌『美楽』2019年6月号の掲載内容を一部修正の上、転載しております。

6月9日、マンションの貯水槽で泳ぐ男の動画がTwitter(ツイッター)で公開され、迷惑行為だと批判が集まりました。

その後、6月13日に住宅総合メーカーA社からお詫びの文書が発表され、協力会社の作業員が自社の施工した賃貸マンションで泳いでいたことが明らかになりました。結果として、A社の株価は一時的とはいえ下落する事態となったのです。

デジタルクライシス発生時は、情報の拡散後に企業がどれだけ迅速に対応するか注目されます。その点において、A社は2日間で状況調査を行い、13日には問題になった受水槽の清掃・水質検査を完了させ、その上で発表に至りました。過去の事例と比較しても、A社の対応に大きな問題はなかったように思います。

だからこそ、問題発生から数日で事態が収束し、株価も14日には復調したのだという考え方もできます。

しかし、実はもっと早い段階で問題に対処することも可能だったのです。

今回の問題は、TikTok(ティック・トック)に投稿された動画がツイッターに転載されたことで発覚しました。しかし、転載元の動画が投稿されたのは2018年9月のことです。つまり、水質汚染の疑いがある状態が約10ヶ月ものあいだ放置されていたことになります。

もしもA社がティック・トックに投稿されている動画を早期に発見できていれば、問題化する前に対処できていた可能性すらあるのです。

現在、ティック・トックのアクティブユーザー数は950万人を超えると言われており、利用者数は伸長を続けているそうです。その半数以上は10代と20代が占め、中学1年生の女子にいたっては、53%という特に高い利用率だとのことです。(※1)ティック・トックのサービス開始は2016年9月ですから、約3年でここまで普及したことになります。

今後、動画コンテンツは一層増加すると言われています。ティック・トックに次ぐサービスは今後も次々と勃興するでしょう。

デジタルクライシスの被害を抑えるためには、いち早く情報を察知し、迅速に対応するしかありません。たとえリリースから日の浅いサービスだとしても、決して軽視するべきではないのです。

自社による定期的なモニタリングや、専門家への事前相談による対策を強くおすすめいたします。

※1 TikTok、40代男性のユーザー増で10代の割合減少…“フェイスブック化”する可能性も? | ビジネスジャーナル https://biz-journal.jp/2019/01/post_26388.html

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