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新型コロナ、従業員が感染したときに企業が取るべき対応とは

公開日:2020.06.01 最終更新日:2023.05.31

※この記事は雑誌『美楽』2020年6月号の掲載内容を転載しております。

2019年に発生した新型コロナが依然として(※1)猛威を奮っています。
2020年3月に開催が予定されていた選抜高校野球大会は、戦争の影響による開催中断を除いて史上初めて中止が決まり、7月に開幕予定の東京オリンピックも開催を危ぶむ声が上がっています。
まさに国難とも呼ぶべき事態に、企業はどのような姿勢で相対すべきでしょうか。ここでは自社の従業員が新型コロナに感染した3社の事例をもとに、対応策と世論の反応についてみていきます。

まず、第一交通産業株式会社では3月1日、60代の男性運転手の感染が確認されました。男性は2月14日に医療機関でインフルエンザと診断された後、自宅療養を続けていましたが、2月21日には発熱、咳の症状が治まらないまま3日間勤務。その期間に計30組の乗客を輸送したそうです。
同社は感染発覚の翌日には事実関係をホームページ上に公開。関係機関と連携して万全の対応をとっていることも明らかにしました。
また、情報公開当日のうちに記者会見を実施。症状が治まらない従業員を出勤させていたことを社長自らが謝罪しました。
さらに、男性が勤務していた営業所の2週間に渡る営業停止、濃厚接触者の行動歴及び乗車記録の調査、営業所内の消毒などを実施しました。

続いて、ダイソー(株式会社大創産業)では、3月8日に「ダイソーLINKS UMEDA店」勤務の従業員1名が感染していることが発覚。なお、同店舗はヨドバシホールディングスが運営する大型複合商業施設「リンクス梅田」のテナントでした。
ダイソーは感染者の勤務する店舗だけでなく、近隣店舗も2日間の営業停止とし、消毒を実施。濃厚接触の可能性がある従業員には2週間の自宅待機を命じました。

最後のスターバックスコーヒージャパン株式会社では、3月12日に「スターバックス コーヒー テラスウォーク一宮店」勤務の従業員1名が感染していることが発覚。
同社はホームページ上の「お知らせ」で情報を公開。感染発覚前の3月2日時点で発表していた、衛生管理と感染防止への取り組みをまとめた記事へのリンクも設置しました。
さらに、感染者が勤務していた店舗は3月13日から当面の間、一時休業(※2)。当該店舗の他の従業員及び濃厚接触者とみなされる従業員には3月13日からの自宅待機指示が出されました。

今回ご紹介した3社は、従業員感染の事実をいずれも発覚から2日以内に公開しました。しかし、事実を公表することで企業ブランドが損なわれる危険性はなかったのでしょうか。

この3社について、社名とコロナに関連したツイートを弊社で独自に調査した結果、意外にも企業への批判は拡散されていませんでした。あくまで事実のみを記載した投稿やコロナ自体に対する投稿が約半数を占めていたのです。

ネット上の動向を見る限り、企業が感染発覚の情報を公表することによるリスクは小さいでしょう。
むしろ、従業員の感染を公表しない場合には世間への注意喚起を怠ったと批判を受ける可能性が高く、公表せざるを得ない風潮になってきています。

施設の消毒や情報公開については地方自治体や保健所との連携が必要となりますが、企業による対策状況の透明性は可能な限り高める必要があるといえます。

※1 本稿執筆時点(2020年3月20日)の状況による
※2 本稿執筆時点(2020年3月20日)では再開時期未定

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