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東京オリンピック開閉会式の小山田圭吾氏の辞任劇から学ぶ炎上リスク対策

公開日:2021.10.01 最終更新日:2023.06.16

※この記事は雑誌『美楽』2021年10月号の掲載内容を転載しております。

東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式おいて、楽曲制作担当に就任していたミュージシャンの小山田圭吾氏が、過去のいじめを問題に辞任を表明しました。

辞任のきっかけとなったのは、25年前の雑誌に掲載されたインタビュー記事でした。その内容は、小中学生時代に障害のある同級生に行った肉体的、精神的ないじめを自慢気に語ったもの。この記事の内容は、国内だけでなく、アメリカやイギリスなどの海外メディアでも大々的に報道され、批判の的となりました。実は、小山田氏の過去のいじめ問題はオリンピックをきっかけに初めて注目された訳ではなく、10年以上前から問題視されており、ファン同士の交流サイトや個人ブロク、まとめサイトなどで何度も炎上を繰り返していたのです。なぜ、このような事態になってしまったのか。組織委員会は「把握していなかった」と明かしています。調べれば必ず明るみになる問題だったのにも関わらず、調査不十分のまま、起用を決定した組織委員会もバッシングされる結果となりました。

小山田氏の辞任劇はスピード感のあるものでした。制作チームが発表された7月14日に小山田氏のいじめを問題視するネット投稿が増えはじめ、翌15日の早朝には、彼のウィキペディアにいじめに関する記述が追加されました。同日の正午には東スポWEBが関連記事をアップし、16日に小山田氏がツイッターに謝罪文(※1)を掲載。17日に組織委員会が留任を発表するも、批判は止まらず、19日には辞任を発表しました。

弊社で独自に調査した結果(※2)、今回の炎上の大きな火種となったのは、ツイッターの投稿であると想定できます。開閉会式の制作チームが発表された直後の15日の早朝には、「学生時代の障がい者いじめを面白おかしくネタにしていた小山田圭吾をオリパラに起用するとか、日本の倫理観大丈夫?!(7時19分投稿)」というツイートがされ、この投稿に2600いいね、リツイートは1621件(7月25日時点)。「エグいいじめを嬉々として雑誌で語ってた小山田圭吾が平和の祭典の音楽コンポーザーってご冗談ですか?(6時42分投稿)」というツイートには、2082いいね、777リツイートと(7月25日時点)、多くのユーザーが共感し、拡散をしています。

小山田氏の辞任劇から学ぶべきポイントは、どれだけ過去の出来事であっても、掘り起こされる可能性があるということ。そして、組織の場合、倫理的問題行動を起こした人物の起用責任が問われるということです。

こうしたリスクを回避するためには、人として問題行動を起こさないことはもちろんですが、もし、すでに起こしている場合は、速やかに謝罪をすることが重要です。また組織・企業がすべき対策としては、起用を検討する人物のSNSや過去の発言などを洗い出し、将来的な炎上リスクまでの予測です。たった1回の炎上で、プロジェクトの制作費や人件費が無駄になるだけでなく、築き上げてきた企業の信頼や商品イメージは失墜し、株価までが一瞬にして下落します。専門家や専門機関に依頼し、多角的、客観点な視点からの徹底的な事前調査が必須といえるでしょう。

※1 https://twitter.com/corneliusjapan/status/1417064399303413762/photo/1
※2 調査対象:「小山田圭吾」を含むTwitterおよび国内の主要87メディア
調査期間:7月14日〜7月25日

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