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居酒屋チェーンの内部告発劇に学ぶ炎上リスク対策

公開日:2023.04.21 最終更新日:2023.12.06

ずさんな衛生管理、パワハラ疑惑が拡散

※当記事は「Twitter」当時の内容となります。

2023年2月26日、SNSで100万人余りのフォロワー数を誇る有名な暴露系インフルエンサーがツイートしたのは、関東圏を中心とした居酒屋チェーンを運営するA社の全社員が参加しているチャットツールのキャプチャ画像でした。

「社外秘」のチャットに書き込まれていたのは、1月11日の入社からわずか1カ月余りで退職することを決めた新入社員が報告したいくつもの退職理由です。

「手袋をつけなかったり、手洗いしようとすると嫌な顔をされたり」

「期限切れ食材を使用」

「店舗研修で学んだことと真逆」

「店舗の責任者に怒号を浴びせられ」

飲食店にとって致命的とも言えるショッキングな告発が列挙されたキャプチャ画像の投稿は瞬く間に拡散、A社は炎上に巻き込まれてしまいました。

別の元従業員や利用客、飲食業界の関係者らもこのインフルエンサーに次々と類似情報をリークし、一連の騒動に絡むツイートの表示回数はピーク時で1日4300万回に達したのです。

速やかに謝罪するも時価総額7億円を喪失

A社は最初の投稿があった翌日、「事実の詳細を確認中」とのプレスリリースを発表しました。

その後、「食品衛生法の趣旨に即した提供はなされているものの、社内基準に即した食材管理および提供方法について一部徹底されていないことを確認した」と発表し、パワハラに関しても不適切な言動があったことを認め、謝罪しています。

ところが、これで一件落着とはなりませんでした。

A社の株価は前週末比5%以上、時価総額にして約7億円も下落。たった1件のタレコミが大規模な炎上を巻き起こしただけでなく、企業経営にも大きなダメージを与えたのです。

しかし、こうしたケースはA社が初めてというわけではありません。

過去にさかのぼると、元従業員が衛生管理の不備を告発した飲食店のフランチャイザー(本部)であるB社は46億円の損失を出し、育児休業明け2日後の社員に関東から関西への転勤を命じたことが明るみに出たC社は60億円の時価総額を喪失。立場の弱いフランチャイジー(加盟店)のオーナーと24時間営業の是非をめぐって対立したD社は、7000億円もの損失を被りました。

ちなみに、内部告発者は欧米で「ホイッスルブロワー(笛を吹く人)」と表現されます。19世紀頃には警察官を指す言葉として使われ、スポーツの審判員もそう呼ばれていました。つまり、組織に対する「裏切り行為」とはみなされていないのです。

炎上企業は顧客も求職者も敬遠する

一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所の調査データでは、2022年における法人などの炎上件数は1日当たり1.5件(年間555件)。うち6割が24時間以内にメディアで放送・記事化されています。

さらに、炎上した企業の顧客の30.7%は、騒動を機に「商品の購入やサービスの利用を停止・再検討」したと回答。「購入・利用の優先度が下がった」とする人も含めた割合は、59.7%となりました。

炎上企業が受ける影響は、それだけではありません。「求人への応募を取りやめた」「選考中だったが、次回の面接を辞退した」と答えた人は36.6%、「志望度が下がった」という割合も31.7%に上り、事業の継続・発展に欠かせない有望な人材の確保にもかなりの悪影響が及ぶことが分かります。

消費者や求職者に対するネガティブな反響の大きさを考えれば、業績の見通しがダイレクトに反映される株価に影響が出るのは当然でしょう。

SNS上の騒ぎは収まったかのように見えても、リアルな世界での影響が尾を引かないとは限りません。

有事に備えて欠かせない即応体制の構築

こうした炎上を未然に防ぐため、絶対に欠かせない備えが即応体制の構築です。また、炎上に対処するだけでなく、ネット上の口コミ評判などを活用したブランドイメージ向上の施策も重要になります。

昨今はソーシャルメディア(SNS)ポリシーや利用規約、ガイドラインの3種類を整備している企業も増えています。

しかし、テンプレートに沿って通り一遍の内容を作成しただけ、自社の潜在リスクを把握しないまま専門業者や法律事務所に丸投げしただけのケースも少なくありません。

危機発生時の企業統治の原則は「危機における統治体制の確立」「危機統治についての文書(危機管理マニュアル)の必要性」です。ただ、社内向けのガイドラインと社外向けのポリシー、利用規約を混同したまま作成されることも多く、注意が必要です。

事実、デジタル・クライシス総合研究所が日経平均採用銘柄225社のソーシャルメディアポリシー・利用規約を調査したところ、合格水準に達したのはわずか23社(10.2%)に過ぎませんでした。

ガイドラインを含めた文書が社内外に浸透しておらず、十分に機能しなかったために炎上が発生・拡大した事例は、枚挙にいとまがありません。

業種・業態などに合わせた研修、体制整備を包括支援

ではここで、シエンプレが手掛けた研修、体制整備に関する支援の一部をご紹介しましょう。

■大手生命保険会社:弊社が作成した日付別の投稿禁忌カレンダーを活用した公式SNSアカウント運用者向けの研修を実施。従業員へのSNSリスク研修も通して、全社的な意識改革に取り組みました。

■大手ファストフードチェーン:異物混入などによる炎上が発生した場合のエスカレーション(緊急報告)フローを見直し、素早い状況把握や公式リリースの出し方など、社内対応フロー構築を支援。公式SNSの運用管理者向けにも年4回の研修を実施しました。

■大手物流会社:公式SNSアカウント開設時の届け出など細かいルールを策定し、投稿・削除・非表示プロセスの明文化を義務付け。炎上の予兆があったときの対応ルールも明確に定め、公式アカウント管理者の資格は弊社が準備したテスト合格を最低条件としました。

■大手ハウスメーカー:各店舗が独自に運用していた公式SNSアカウントを本部に集約する体制に改め、リスクマネジメントを強化。最終的には本部が運営する公式SNSに統合し、一本化を図りました。

■大手家電量販店:専務直轄のリスク対策室設置を提案し、弊社コンサルタントも参画。ネットの口コミ評判の事実確認を踏まえ、顧客対応の指示や再発防止策の策定など炎上を未然に防ぐ対策を構築しました。店長向けの研修も行い、店舗単位でクレーム対応ができるよう仕組み化。Twitter公式アカウントの運用ガイドライン策定など包括的な支援をしました。

最新の炎上トレンドを分析・活用できるのが強み

いずれの炎上リスク対策も、支援を受ける顧客企業に合わせた注意点や、同業種・業態の炎上事例を考慮。研修の教材と研修動画は年1回改訂・更新しています。

最新の炎上トレンドを的確に分析・活用したサービスを提供できるのは、国内で圧倒的な契約実績数と信頼性、ノウハウを誇る弊社ならではの強みです。デジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、お気軽にご相談ください。

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