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【第2回JDCアワード】【優秀賞受賞インタビュー】ダイキン工業株式会社様

2022.03.15 最終更新日:2022.05.20

TikTokのダンス動画企画で若者に訴求

シエンプレ株式会社(以下、シエンプレ):2021年5月に「湿度」をテーマにしたダンス動画をTikTokで公開し、それを真似て踊った動画を投稿してもらう企画が大きな話題になりました。若者をターゲットとした新たな施策に乗り出した理由をお聞かせください。

ダイキン工業株式会社 天野様(以下、天野様):弊社はもともと学生や20代前半の若年層の認知度が低いという課題がありました。ワンルームの賃貸などに住む若者は自分でルームエアコンを買ったことがなく、テレビCMなどで我々の製品を目にしてもあまり興味を持ってくれません。
一方、競合相手に多い大手の総合家電メーカーは、若者にとって「ダイキン工業」より身近なブランドです。若年層が年齢を重ね、いざ「エアコンを買おう」となったときは、いかに弊社を思い出してもらえるかがカギになります。そのため、若いユーザーが多いTikTokの活用に踏み切りました。

天野 貴史(あまの たかし)様
総務部 広告宣伝グループ
2010年にダイキン工業入社
商品(ルームエアコン)及び、企業ブランド広告の『TVCM企画制作・TV媒体購入』、『デジタル広告企画・媒体購入』だけでなく、アーンドメディアを活用する戦略PR、オウンドメディアのコンテンツ制作など入社以来一貫して、トリプルメディアを活用した統合型マーケティングコミュニケーションを担当。

シエンプレ:およそ半年後の2022年1月には、御社の新卒採用チームが登場するTikTokのコンテンツが公開されました。採用活動への広がりは、ダンス動画企画の副次効果としてのものだったのでしょうか。

天野様:若年層の認知度の低さは、新卒採用のブランディングにも共通する課題です。ダンス動画企画を展開したのは、奇しくもインターン学生の受け入れを始めた時期と重なったため、「TikTokを見てインターンに応募しました」といった声が採用担当者に届きました。
若年層の間で知名度が高まっているという手応えをつかんだことで、TikTokに新卒採用チームが登場すれば就職活動でも興味を持ってもらいやすくなるのではないかと考え、人事部門に掛け合って実現したという経緯です。

シエンプレ:動画には社員の皆さんが顔も実名も公開して出演されましたが、何らかのデジタルリスクへの対処は想定されていたのでしょうか。

天野様:競合に比べて知名度が低い分、あの手この手で振り向いてもらわなければならないと考えていたので、当初から「リスクを恐れず、積極的に挑戦しよう」という姿勢でした。
自社の公式サイトでは以前から、社員のインタビュー記事を実名で掲載しています。公式サイトとTikTokはプラットフォームが違うだけなので、SNSというだけで特別なリスクが生じるとも考えませんでしたね。「SNSで公開するのは危ない」と言ってしまうと、そんな危険な情報を自社サイトで公開していたのかということにもなりますから。
SNSのコンテンツにおける表現も、誰かが悲しんだり嫌な思いをしたりする情報は発信しないというテレビCMの基準を踏襲しています。Web上なら過激な表現をしてもいいなどとは全く考えていません。

自社の強みを効果的に伝えることを最優先

シエンプレ:さまざまなSNSのプラットフォームが存在し、実際に活用もされてきた中で、TikTokの選択にたどり着いた決め手は何だったのでしょうか。

天野様:2019年から若年層へのブランド認知向上を目的にしたSNS広告施策を始めました。企画の内容は一貫して、「湿度」を若年層にいかにして「自分事」として受け取ってもらえるかを考えています。その理由としては、弊社のルームエアコンの強みは、湿度コントロール機能であり、湿度は快適性を大きく左右するのですが、ほとんどの人に知られていません。そこで、若者にとって身近なインフルエンサーに、実は、湿度が自分たちにも関係するというメッセージを伝えてもらい、湿度をコントロールできることのメリットと「ダイキン」というブランドを発信しようと考え、2019年より企画の骨子は継続して実施しております。今回の企画では湿度と恋愛を結び付け、「自分事化」を狙いました。

シエンプレ:なるほど。

天野様:そして、2019年から2020年まではTwitterとInstagramを活用していましたが、多くの投稿が流し読みされる中で目に留めてもらうのは難しく、企画のフォーマット自体も使い尽くした感があったのは事実です。
そこで最も相応しいSNS媒体として着目したのが、若年層に人気のメディアとして伸びているTikTokでした。
TikTokの強みは流れてきたコンテンツを見るだけではなく、自らも投稿を楽しめるプラットフォームであるということです。企業として、生活者との接点を強められると思いました。
これまで弊社と縁がなかった方とのつながりができ、各種企画の投稿を見てくださった方の心にも響くだろうと考え、TiKTokを使うのがベストと判断したということですね。

シエンプレ:結果的に、TikTokのダンス動画企画には計560件もの投稿がありました。投稿がどんどん増えていった様子を、どのような心境でご覧になっていましたか。

天野様:企画をローンチしてからは10分間おきくらいに投稿数の推移を確認してしまうほどドキドキしながら見守りましたが、どんどん増えていくのがうれしかったですね。目標にしていた300件ほどの投稿数を大きく上回ったことに喜びを感じています。
ダンスを通してそれぞれのキャラクターを発揮してくれた2人のインフルエンサーを起用した狙いが、見事にハマったという感覚でしたね。

TikTok特有のセレンディピティにも着目

シエンプレ:初めてのプラットフォームでのチャレンジで、苦労された点はありましたか。

天野様:どのくらいの反響があるか分かりませんでしたが、「どんな意図を持ってこの企画を展開するのか」を徹底的に練り上げた上でローンチしたので、理解されないかもしれないという心配は全くありませんでした。
2019年から取り組んできたSNS運用がある程度の成功を収めている中、若年層のブランド認知を高めるためにTikTokを活用することについては、経営層にも自然な流れとして受け入れてもらえました。

シエンプレ:TikTokから他のSNS公式アカウントへの波及効果などはありましたか。

天野様:TwitterでもTikTokの企画を告知していたので、一時的にフォロワー数が増える現象が見られました。競合がまだ手を出していない媒体のユーザーとのコミュニケーションを取れているのも、弊社にとって非常に大きな蓄積になっていると思います。

シエンプレ:それぞれのSNS媒体の特性を活かした自社の情報発信については、どう認識されていますか。

天野様:TwitterやFacebook、Instagramは個人の趣味趣向が最適化され、それらに関係のないコンテンツが入りにくい媒体だと思いますが、TikTokの場合はさまざまなジャンルの動画を「暇つぶし」のような感覚で見られるという印象です。
逆に言えば、コンテンツとして面白い動画なら趣味趣向の垣根を超えて多くの人に受け入れられるので、セレンディピティが起きやすいメディアと言えるのではないでしょうか。
自社製品の広報にはTwitterやFacebookが向いているのかもしれませんが、ブランドに興味がない人にも受け入れられるコンテンツはTikTokの方が制作しやすいと感じています。

複数のSNS媒体を横断する企画を模索

シエンプレ:SNS全体を通して、どのようなコミュニケーションを取っていこうとお考えですか。

天野様:より多くの人に情報を届けるためには、複数の媒体を横断する企画を効果的に展開することが重要になってくるのではないでしょうか。弊社としても、その手法を探っていきたいと考えています。
自社製品のプロモーションでTikTokを活用したことはないのですが、「TikTok売れ」という事象が注目されている中、どのように展開できるかも考えてみたいと思います。

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