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【第2回JDCアワード】【エンターテイメント賞受賞インタビュー】株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス様

2022.04.13 最終更新日:2022.05.20

既存の企業アカウントとは違うポジションを模索

シエンプレ株式会社(以下、シエンプレ):御社は「いつの時代も、ワクワク・ドキドキする、驚安商品がある買い場を構築する」という経営理念を掲げてらっしゃいます。
Twitter運用でも「ワクワク・ドキドキ」を感じていただくため、特に工夫されている点はありますか。

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 増田様(以下、増田様):私は企業アカウントには2つの運用パターンがあると思っています。
1つは「中の人」の個性を強調するパターン。もう1つは、売り上げに貢献する情報を集中的に発信してマーケティングツールに徹するパターンです。
どちらも正解だと思いますが、後発のドン・キホーテアカウントがこれらに追随するだけでは勝ち目がありません。そのため、第3の立ち位置を模索し続けています。
毎日のように2つのパターンの発信内容を見ながら「他に斬新なアプローチはないか?」ということを研究しています。

増田 様
2018年10月入社
以降ドン・キホーテのソーシャルメディアマーケティングを中心にSNSアカウント運用、販促・宣伝に従事
前職のクラウドファンディング事業におけるソーシャルメディアマーケティング、ファンマーケティングの経験を活かしTwitterをはじめ、Instagram、Facebook、TikTok、YouTubeも同部署にて運用

シエンプレ:普通ならベンチマークとする企業アカウントのアイデアをうまく活用することが多いと思いますが、あえて違う方向を目指すために研究されているということですね。

増田様:そうですね。もう一つ別な道はないかを常に試行錯誤しています。音楽に例えると、カバー曲から始めつつも、最終的にはオリジナル曲で勝負したいということでしょうか。

Twitterのコラボ企画で誕生したポテトチップスの新味

シエンプレ:2021年は11月29日(#いいにくいことをいう日)の「ぶっちゃけ安くないのもある」という自虐ツイートがバズりましたが、今までなにかターニングポイントになったエピソードはありましたか。

増田様:私が公式Twitterの担当についたのが3年半前なのですが、最初に取り掛かったのは、他企業様とのコミュニケーションでした。
企業公式アカウント運用は初めてでしたので、一般ユーザーの方々とコミュニケーションを取る前に、背景が分かる企業の担当者様とコミュニケーションを取れば、炎上のような事態は起きにくいだろうと考えたのが理由です。
そうして1年半ほど経った頃、カルビー様の「中の人」とTwitter上で会話を重ねながら「ポテトチップスの新しい味」を作り上げ、発売に至ることができました。
コミカルなやり取りの末に完成したポテトチップスがドン・キホーテの店頭に並んだときは「Twitterをやっていて良かった」と初めて思いましたし、自分が取り組んだことが実現したという喜びもあったので、すごく印象に残っています。

シエンプレ:ユニークなコラボレーション企画は、どんなきっかけで始められたのですか。

増田様:さまざまな企業様にお声掛けするようになってから、SNS担当者が集まる会合でカルビー様の「中の人」とも顔を合わせる機会がありました。それからは、よりコミュニケーションを取りやすくなりましたし、いろいろなお話をする機会が増えました。
そんな中、カルビー様のドン・キホーテ限定商品があることを知り、お声がけさせていただいたのがきっかけです。
着任と同時に「SNS担当者の人脈をつくりたい」と思っていましたし、人脈があれば自社の運用にもプラスになると考えたので、そうした会合には積極的に参加するようにしていました。

商品のストーリーを共有できるのがSNSの強み

シエンプレ:ちなみに、ご自身が着任された当初のフォロワー数は何人くらいでしたか。

増田様:12万人ほどでしたね。

シエンプレ:フォロワー数は今や4倍の48万人に上りますが、さまざまな企業様とのコラボ商品に関するTwitter上の反響はいかがですか。

増田様:カルビー様との会話も、多くのユーザーの皆さんが見てくださいました。「もっとやってほしい」と応援してくださるご意見もありましたし、類似商品と比べ売り上げも大きく伸びたので、ユーザーの皆さんの反響の大きさを非常に強く感じました。

シエンプレ:ユーザーの皆さんはTwitter上で商品が完成するまでのストーリーをリアルで目にしているので、実際に販売されたときには「手に取ってみなければ」という気持ちになるということですね。

増田様:商品の価格、品質や素材はもちろん大切ですが、私はそれを買うことの「意味」も重要と考えています。
今回の場合、商品が出来上がる過程というストーリーをユーザーの皆さんと共有することで、「自分もその過程に参加した」と思っていただけるような環境があったのではないかと思っております。
ユーザーの皆さんが実際に商品と対峙した際、商品の価格、品質や素材の他に、「この商品にはあんな経緯があったな」というストーリーも一緒にご購入いただいたのだと感じております。
このような状況を作り出せるのは、ユーザーの皆さんと共にあるSNSの強みであり、買うことの「意味」に十分値すると思っています。

アドリブで生まれた「ぶっちゃけ」ツイートに大反響

シエンプレ:なるほど。「#いいにくいことをいう日」は毎年恒例のTwitterトレンドですが、今回のツイートは事前に準備されていたのですか。

増田様:トレンドはリアルタイムで見ているのですが、今回は自然発生的に生まれたという方が近いと思います。
私は「いいにくいこと」を「あまり認めたくないけれど本当のところ」と解し、じゃあ、ドン・キホーテの「あまり認めたくないけれど本当のところ」って何だろうと考えたのです。
ディスカウントストアであるドン・キホーテは「安い(驚安)」で有名ですが、一方SNS上で「ドンキなのにめちゃ高価なもの売ってた」「他店の方が安かった」など散見されていることも知っていました。
可能な限り驚安商品をお客様へご提供していきたいですし、これからも日々努力して参りますが、どうしても他店様より高かったり、高価な商品があるのも事実です。
この投稿は、そんな日々Twitter上でつぶやかれている投稿を見ていたからこそ思いついたのかもしれません。
ただし、思いつきで投稿するわけにはいきませんので、投稿にあたっては他者を傷つけない、ネタとして使えるのは自社に関することだけ、という弊社のTwitter運用ルールの範囲内であるかどうかを考慮したうえでツイートしました。

シエンプレ:ルールの範囲で、タイムリーに反応されたのですね。

増田様:ほぼアドリブでしたが、普段の投稿から心掛けていることは変わらないのでスムーズに反応できました。
ドン・キホーテのパブリックイメージは、ある程度「やんちゃ」が許される面があるので、ちょっとふざけた自虐ツイートが受け入れられたのだと思います。この範囲なら「ドン・キホーテらしい」と感じていただけるだろうと判断しました。

シエンプレ:日常的な投稿の内容は、どなたかが事前にチェックされているのでしょうか。

増田様:基本的に私が考えてツイートしていますが、ある程度のリスクを意識しながら文章を練っていますので、迷ったときは投稿せず、もう1人の担当者に必ず相談しています。
自分がどういうつもりで発言したかより、相手にどう伝わるかを配慮することが重要と考えているので、なるべく客観的な意見を聞かせてもらうようにしています。

シエンプレ:これまでに、意図しない捉えられ方をした、あるいは炎上しかけたような経験はありますか。

増田様:今のところヒヤリとしたことはないですね。「ドン・キホーテらしさ」のイメージが、Twitterの文化にとりわけ馴染んでいるからではないでしょうか。

シエンプレ:SNSプラットフォーム全般の運用を網羅した社内の対応マニュアルやチェック体制、端末の使用ルールなどは、どのように設定されていますか。

増田様:マニュアルはリスクを未然に防ぐためと発生した後にどうするかという2つの観点で策定し、SNS運用に関わるすべての従業員が熟読して内容を把握しています。
Twitterと同じく2人以上でチェックする体制も整えております。
また、投稿時はプライベート端末を一切使っていません。
さらに、会社の携帯電話やパソコンを使えばいいというだけではなく、アカウントごとにブラウザや端末も使い分けて物理的に誤投稿を防ぐようにもしています。

CSと連携したアクティブサポートも徹底

シエンプレ:かなり徹底されていますね。Twitter上の公式アカウントとカスタマーサポート(CS)専用アカウントは、どのように使い分けてらっしゃいますか。

増田様:CS専用アカウントは、私が着任してから開設しました。
それまでは公式アカウント内でCS対応を行っていましたが、砕けた内容の投稿をした直後に「突然申し訳ございません」というかしこまったアクティブサポートが入ってしまうと、どうしても輪郭がぶれてしまいます。そのため、双方を切り分けようということになりました。

シエンプレ:ご自身の着任前から、SNSを活用したアクティブサポートを実践されているのですね。

増田様:弊社の企業原理は「顧客最優先主義」です。お客様のご意見はコールセンターやメールでも受け付けていますが、お客様のご意見等の投稿があれば可能な限りこちらからアクションを起こして問題解決に動くことを大切にしています。
SNS上ではリスクワードやお客様のご意見に多く含まれそうなワードを設定して検索し、積極的に探知しています。
CSの部署と連携し、基本的にはすべてのご意見をリアルタイムで共有しているので、共通認識を持ってしっかり対応できています。

シエンプレ:本当に素晴らしいですね。Twitter以外のSNSプラットフォームは、どのような方針に沿って運用されているのでしょうか。

増田様:Twitterと同じ部署でTikTok、Facebook、Instagram、YouTubeを運用しており、それぞれ発信内容に沿って使い分けています。
TikTokは1年半ほど前、若年層を取り込む狙いで始めました。弊社の公式キャラクター「ドンペン」「ドンコ」のブランディングと商品を紹介する2つのアカウントを持っていますが、流行の移り変わりがすごく早く、ついていくのが大変という印象です。
Facebookのユーザーの方々は年齢層が比較的高く、ビジネスパーソンが中心なので、基本的にはオフィシャルで真っ直ぐな情報を発信するように心掛けています。
Instagramは2020年12月頃から本格的に力を入れ、1万8,000人ほどだったフォロワー数が6万人余りに増えました。メインターゲット層に合わせて女性の担当者を起用し、コスメ系の商品に関する投稿を増やしています。
YouTubeは1年ほど前に始めました。社員ユーチューバー「さとぺん」を起用して週1本、ドン・キホーテの裏側を紹介する動画を上げています。
お客様に新たな発見をしていただくのと、「さとぺん」を通してドン・キホーテのファンを増やすのが目的ですね。

シエンプレ:Twitterは、コミュニケーションの最前線を担う形で運用されているのですか。

増田様:そうですね。ターゲットのレンジはTwitterが一番広いのは間違いありません。
ただ、Twitterの「中の人」や社員ユーチューバーがTikTokに出演したり、Instagramの運用者が動画に登場したりしています。
それぞれのアカウントは別々に運用していますが、実はつながっているということもアピールするのが狙いですね。

「ワクワク・ドキドキ」を伝えるコミュニケーションを追求

シエンプレ:ありがとうございます。今後、力を入れていこうとお考えになっている宣伝・広告の手法やSNSでのコミュニケーション方法などがあれば教えてください。

増田様:ポテトチップスのように、SNSが発端となって出来上がる商品を作っていきたいと思っています。
それと、宣伝・広告は、新規顧客を獲得する手法として使われることが多いという印象ですが、自分は逆の方向からアプローチしたいと考えています。
かねてから新規顧客獲得施策ということは多く行ってきましたが、自分の中ではいつも「すでに来ていただいているお客様に対して何かできているのか?」とモヤモヤしていた部分がありました。
SNSはドン・キホーテを好きなお客様と直接コミュニケーションが取れる場です。
既存のお客様と深いコミュニケーションを重ねることを意識し、何となく傍にいる、いつも「ワクワク・ドキドキ」を提供できるというアプローチを目指していきたいです。
押しつけではない形で、「ワクワク・ドキドキ」をどう示していけるかを追求していきたいですね。

シエンプレ:「ワクワク・ドキドキ」がどのように進化するのか、これからも楽しみにしています。

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