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【第2回JDCアワード】【優秀賞受賞インタビュー】シャープ株式会社様

2022.02.25 最終更新日:2022.05.20

逆風続きの飲食店に空気清浄機プレゼント Twitter企画に反響

シエンプレ株式会社(以下、シエンプレ):新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年は家電メーカーである御社製のマスクが大きな話題になり、Twitterの公式アカウントから発信された温かいメッセージも多くのフォロワーに支持されました。2021年4月にはコロナ禍で踏ん張る全国の飲食店に空気清浄機をプレゼントする企画を実施しましたが、どのような思いがあったのでしょうか。

シャープ株式会社 山本様(以下、山本様):コロナ禍が続く今は、誰もがあまねく苦境に立たされている状況なので、ずっと「自分に何ができるか」ということを考え続けてきました。「困ったときはお互い様」という意識から、ごく自然に「飲食店を応援しよう」という思いに至ったということです。

シエンプレ:その企画に呼応する形で全国の飲食店の関係者から反響があり、「困っている飲食店を応援しよう」という機運がさらに高まったとも感じます。

山本様:私はふだん、どちらかと言えば広告と距離を置くことが多いのですが、今回の取り組みに関しては広告に携わる人も、Twitterを見る人も、企画に参加する人も、誰も損をしない「三方よし」の形ができました。
企画を始めたときは特段の目標を立てたわけではなかったものの、広告の反対側の場所から、もう少しポジティブな場所に行けたという気持ちはあります。

「意図しなかった反応」というだけで切り捨てるべきではない

シエンプレ:近年のSNS炎上の原因は「不適切な言動」がかなりの割合を占めていますが、「不適切かどうか」の境目はかなり曖昧な印象もあります。日常的にツイートをされる「中の人」として、どのような判断基準をお持ちですか。

山本様:自分が守り続けているのは「好き」は言っても、「嫌い」は言わないというルールです。他人が好きなことを否定しないというベーシックな考え方は、今も有効だと思います。
そういう意味では、判断基準は特に変わっていないとも言えますが、以前は許されたのに今はそうではなくなっているケースがあることは想像できます。そもそもTwitterのユーザーが増えているということは、自分の意見を表明する人が増えているということなので、どんな意見を言ってもそれに対するコメントがつきやすくなっているのが現実ではないでしょうか。
それなら、コメントがつかないような発言、誰も反応しないような発言をすればいいのかと言えば、そういうわけでもないでしょうから、判断基準を明確にするというのは難しいですね。

シエンプレ:御社のようにフォロワー数が多い企業アカウントの担当者からは、自ら発信した内容が意図しない受け止められ方をすることがあるという話もよく耳にします。

山本様:いわゆる「クソリプ」と呼ばれるリプライは、私自身はそんなにないと思っています。何でもかんでも「クソリプ」で片付ける姿勢こそ疑うべきですし、実際に読めばそうとは言い切れない意見も多いと思います。
「自分が予想しなかった意見だった」というだけで切り捨てるのは社会の眼差しとして不適合だと思います。個人のアカウントではなく、企業アカウントとして自社のアカウントにある種の公共性を持たせようとするなら「なぜ、このような反応をされたのか」を想像することが必要なはずです。

シエンプレ:ご自身が反応されるものとされないものは、どのような基準で振り分けてらっしゃるのですか。

山本様:自分の能力を超えるほどの量が届いた場合は当然、返信できないこともありますが、基本的には「困っている」人を見かけたら、きちんと応えるようにしています。
もちろん「これは触れない方がいい」と判断したり、少し時間を置いたりすることもありますし、自分だけでは対処できない話もあるわけです。その場合は、会社として受け止める体制ができてから返事をするというように、その都度判断しています。

自社が注目されているときに何を発信するかが大切

シエンプレ:御社のTwitter公式アカウントは、開設から10年間を経過しました。国内企業屈指の人気アカウントに成長された道のりを振り返って、どのように感じてらっしゃいますか。

山本様:基本的には会社の浮き沈みと連動していると思います。企業が社会の中で活動するのと同様、企業アカウントも世間に向けて窓口を開いているわけですから、会社の変遷とともに、見られ方も、置かれる立場も変わってくるということです。
それに対処することこそがブランディングと呼ばれるものなのかもしれませんし、企業コミュニケーションというものかもしれませんが、だからといって大きな企業の場合、SNSアカウントが業績をV字回復させるというようなことはあり得ません。
企業と並走するのが宿命という意味で、公式アカウントの10年間はシャープという会社の10年間とほぼイコールだったと思いますね。

シエンプレ:会社の動きに合わせて情報を発信し、ユーザーとのコミュニケーションを図ってこられた結果が今に至っているということですね。

山本様:世間の目が向けられているときに何を発信するかが、企業アカウントを生かす方法の1つだと考えています。
SNSで何かを発信して大きな注目を集めるというよりは、会社や製品に注目が集まっているときにどんなコミュニケーションを添えられるかが、企業アカウントの得意分野だと思います。
私自身、注目を集めるためにSNSで何かを仕掛けようとか、運用上の戦略をどうこうしようという考えは全くありません。そもそも、そういうことは不得手だとも自覚しています。

シエンプレ:自社が注目されたときこそ、どんな発信をするか、あるいは無言を貫くのかという姿勢が問われるということですね。

山本様:世間からの注目は、なにもピンチの時だけとはかぎりません。例えば、空気清浄機を売りたいのであれば、空気清浄機の発売日をツイートするのではなく、「花粉が飛び始めた」というツイートが増え出したときに合わせればバズりやすくなるに決まっています。
でも、それはこちらから仕掛けたわけではなく、世の中の動きに合わせたというだけのことです。だから自分がやっていることは、毎日ツイートをしながら世間の目が向きやすいタイミングを待っているだけとしか言いようがありません。

アフターコロナのコミュニケーションとは?

シエンプレ:アフターコロナのコミュニケーションは、どのように変化するとお考えでしょうか。

山本様:コロナ禍以前の生活に戻ろうとする人と、完全には戻らなくてもいいという人の間で断絶が起こりそうな気もします。自分自身はすべて元に戻る必要はないと思いますし、心情的には新たな生活様式を望む人の側に立ちたいとも考えていますが、そうしたスタンスの違いが浮き彫りになり、いろいろな面で軋轢も生まれるのではないでしょうか。

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