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社内リークが企業を窮地に! 従業員教育と広報の重要性

公開日:2021.10.29 最終更新日:2024.01.26

リークが勝敗を分けた桶狭間の戦い

「情報化社会」という言葉や概念が広く用いられるようになって久しい昨今。発達した情報技術の恩恵を一切受けずに生活している人は、もはや皆無と言っていいでしょう。
「情報がさまざまな資源と同等、もしくはそれ以上の価値を持つ」という着想が生まれたのは1960年代までさかのぼると言われています。
しかし、歴史を紐解けば「情報に価値がある」という考え方は普遍的なものだったことが分かります。

例えば、戦国時代の1560年に起こった「桶狭間の戦い」。一説には2,000人程度だったとも言われる織田信長の軍勢が、およそ2万5,000人もの兵を率いる今川義元を打ち破ったことで知られています。
10倍近くの兵力の差がありながら、なぜこのような結果になったのでしょうか?

武将としての経験値や戦術の違いなど、さまざまな要因があったのは確かです。ただ、「情報」の観点で見ると、興味深い事実も浮かび上がってきます。
織田信長の一代記である「信長公記(しんちょうこうき)」に記されているのは、合戦を前に織田方を一気に攻め落とそうと進軍してくる今川方の克明な作戦です。
これは、今川方に潜んでいた内通者が織田方に情報をリークしていたということに他なりません。

ちなみに、信長公記には、信長が大事な合戦の前夜、家臣を家に帰したことも書かれています。つまり、自らの家臣の中に今川方への内通者がいるのを警戒していたというわけです。
敵陣の情報を引き出すことに力を注ぎつつ、自陣の情報がリークされないように細心の注意を払う。重要な情報が漏れてしまえば命取りになりかねないことを知っていた信長は、まさに現代の情報化社会に通じる考え方を持ち合わせていました。

さて、そんな信長でも、インターネットに代表される情報技術の発達までは予想していなかったでしょう。
文字だけではなく、音声や写真、動画の情報をスマートフォン1つで簡単に発信できてしまう現代は、500年近くも前の時代とは比較にならないほどリークのリスクが高いと言えます。

「ワクチン禁止令」のツイートに騒然 週刊誌にもリーク

そうしたリスクを象徴する直近の事例が、東証1部上場の住宅メーカーA社をめぐるリークでした。
新型コロナウイルスのワクチン接種が進み始めた2021年6月、A社の従業員と思われる人物のツイートが波紋を呼びます。
そこにはA社の名称が記され、「コロナのワクチンを打つなと社員に強要、ありえない」と書かれていました。

さらに、7月7日にはA社の従業員の知人を名乗る人物が「(A社の)社長が『ワクチン接種禁止』『接種した者には懲戒免職も辞さない』と発言していて、接種したくてもできないとのこと」とツイートし、ネットユーザーらを騒然とさせたのです。

これを受け、A社は「そのような事実はない」とするニュースリリースを公開しました。しかし、その時点ではすでに、複数のA社従業員が一部週刊誌に情報をリークしていたことが分かっています。
7月20日には、10件以上のリークを集めたとされるこの週刊誌がオンライン記事でA社の「ワクチン禁止令」を報じたことで、騒動は尾を引くこととなりました。

A社は再びニュースリリースを公開して火消しを図りましたが、週刊誌報道を受けて株価は垂直下落。Twitterでトレンド入りしたこともあり、前代未聞とも言える「ワクチン禁止令」のニュースは多くの人の目に触れる事態へと発展したのです。

リークが炎上すれば、さらなる粗探しが活発化

さらに、A社に関する週刊誌へのリークは、これだけでは終わりませんでした。

8月4日、A社の取締役のB氏が社員に風俗店の利用を推奨し、事後にサービス内容を報告させていたというオンライン記事がアップされます。
8月9日にはB氏が所属長を務める社内部署が「優秀社員表彰」を受けていたこともオンラインで報じられ、8月17日にはこれらの記事が週刊誌の本誌に改めて掲載されました。

さて、これらの動きは何を意味しているのでしょうか?

リークが発生して炎上する事態に陥ってしまうと、世間や社員から向けられる視線は厳しさを増します。そうなれば、「さらなる問題があるはずだ」と粗を探そうとする動きが活発化するというわけです。

社内の問題が明るみに出た場合、従業員によるリーク先としては、次のようなものが想定されます。

  1. 企業内
  2. 行政機関
  3. その他事業者外部(マスコミ、一般市民)

2020年6月に改正された公益通報者保護法では、従業員301人以上の企業などに、上司を通じた通常の報告ルートとは異なる窓口を設ける内部通報制度の整備が義務付けられることになりました。
こうしたことからも、社内で不正に遭遇した場合は内部告発をするのが正攻法と言えます。しかし、特にコロナ禍の中では、自粛警察のような正義感や被害者心理、あるいは「バズりたい」といった承認欲求を持つ従業員が事実を歪曲して解釈し、過剰な発言に走ることもあり得るのです。
A社の騒動も、一部の従業員が上層部の発言を誤って認識し、過度な内容をツイートしてしまった可能性がないとは言い切れないでしょう。

SNSで社外への情報発信を気軽にできる時代においては、過度な被害者意識を抱える従業員への警戒を強めなければなりません。
週刊誌がWeb上でリークを受け付ける情報窓口も、スマホ1つで音声や写真、動画などのファイルを簡単に送れる仕組みが整っています。
例え社内向けであっても、デリケートな情報を発信する際は一層の注意が求められるのです。

社内、社外に発信する情報量をそろえる

A社の騒動が長引いたのは、炎上後の初動対応の悪さも一因だったと考えられます。
最初のニュースリリースは、単に「事実無根」であることを訴えるだけの内容でした。
つまり、「ワクチンを接種したら無期限の自宅待機と通達したのは本当か?」など、世間の人々が率直に感じた疑問に答えなかったことが、火に油を注ぐ結果を招いてしまったというわけです。

とは言え、突如勢いを増した炎上の混乱にうまく対応するのは、非常に困難なはずです。

では、そもそも自社に関するリークを防ぐには、どうしたらいいのでしょうか?

大切なのは、社内と社外にそれぞれ発信する情報を一致させることです。
両者の情報量に不均衡が生じてしまえば、「本当はこうなのではないか?」といった不必要な不信感を与えてしまうことになりかねません。

ネット時代は、より丁寧な従業員教育と企業広報の重要性が求められるというわけです。

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SNSに投稿された従業員の問題発言などがネット上で拡散・炎上してしまえば、勤務先である企業への誹謗中傷・風評被害も起こりかねません。
もちろん、従業員がリークした社内の不祥事などが誤解に基づくものであったとしても、それを信じた人が企業に批判を浴びせないとは限らないのです。

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