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人気スープ店の離乳食騒動に学ぶSNS論争の対処法

公開日:2023.06.23 最終更新日:2023.12.06

※当記事は「Twitter」当時の内容となります。

SNSをはじめとしたインターネット上では、あらゆる分野の出来事についてさまざまなユーザーが発言し、ときに激しい論争が繰り広げられています。もちろん、論争の対象となるのは企業活動も例外ではありません。賛否両論のぶつかり合いがメディアを巻き込むほど激しさを増せば炎上騒動に発展し、企業側も対応を迫られることになるでしょう。本記事では人気スープ店の事例をたどり、SNS論争に巻き込まれた場合の適切な対処法について考察します。

賛否の議論過熱が招く炎上もある

SNSを中心としたソーシャルメディアなどの炎上を引き起こす事象には、主に2つの種類があります。

ひとつは、法令や常識的な社会規範に反する過失・悪事。もうひとつは、賛否両論を呼ぶ言動・思想です。

もちろん、物事には必ずと言っていいほど賛否両論が存在します。だからこそ、誰もが自由に意見や感想を交わせるソーシャルメディアが普及したという側面もあるでしょう。

しかし、答えの出ない議論が過熱した末の炎上に企業が巻き込まれた場合、どのように対処するべきなのでしょうか。

これから紹介するのは、そんなことを改めて考えさせられる事例です。

人気スープ店の「離乳食無料提供」が波紋

首都圏を中心に全国で約60店舗のスープ専門店を展開するA社。利用者の大半は女性で、1人客も少なくありません。

静かで落ち着いた雰囲気も店舗の人気を支えていましたが、4月18日の企業公式Twitterでの発表がSNS上でたちまち賛否両論を巻き起こすことになります。発表の内容は、一部店舗で実施している離乳食の無料提供を4月25日から全店で行うというものでした。

今や世の中のメジャーな価値観になった「社会全体で子どもを育む」という思想にも即した経営判断で、子育て中のSNSユーザーが歓迎したのは言うまでもありません。

しかし、SNS上には「ただでさえ狭くてカウンターしかない店舗も多いのに、ベビーカーで突撃されたらたまらない」「子持ちなんてすぐ帰らないし、店の回転がめちゃくちゃ悪くなる」といった批判的な意見も書き込まれました。

このような批判や懸念があることに驚いたり、ネタとして取り上げたりする層も加わり、A社の発表はたちまち騒動に発展したのです。

発表から2日後の4月20日にはメディアも報じ、炎上をあおるような記事や子どもを持つ人と持たない人の分断を強調するようなネット記事が続々とアップされています。ポータルサイトのニュースにも転載されたことで論争は拡大し、SNSの関連投稿件数は1日12万件まで急増しました。

反対意見は少数派だった騒動、毅然とした声明文に称賛

さて、これほどの騒動が起こった中、A社はどのように対処したのでしょうか。

A社が声明文を発表したのは離乳食の無料提供を全国の店舗で始めた翌日、4月26日のことでした。騒動のきっかけとなった発表から1週間、ひたすら沈黙を貫いたことになります。

論争にすぐ反応しなかった理由について、4月26日にA社は声明文で「私たちの存在意義について想いを巡らせ、考えを深めていたから」と説明。ただし、謝罪のニュアンスをにじませるような文言は一切使われていませんでした。

声明文に記されていたのは、企業理念や食のバリアフリーに関する過去の具体的な取り組み、全店での離乳食無料提供に対する信念です。

毅然とした姿勢を保ちながら自社の取り組みを拡大することへの理解を求めた声明文は称賛され、批判的なリアクションはほとんど見受けられませんでした。

こうした対応が受け入れられたのは、一連の騒動の本質を知れば納得できるでしょう。

メディアの記事は、A社がバッシングを浴びていることを印象付ける内容が目立ちました。ところが実際のSNS投稿は、反対より賛成の意見の方が圧倒的に多かったのです。

A社の対応は、間違ったことをしたわけでもないのに批判された際のモデルケースとなり得るでしょう。

自らに非がなければ「謝罪しない」という選択肢もある

炎上騒動が起こったとき、例え自社に何の落ち度もなかったとしても「お騒がせして申し訳ございません」「誤解を招いてしまい」「配慮に欠けておりました」といった言い回しで謝罪し、炎上を鎮火させようとするケースは後を絶ちません。

しかし、非がないのに批判された場合、必ずしも謝罪しなければならないということはないのです。通り一遍の謝罪の言葉を並べるより、A社のように自社の企業努力や熱意を誠心誠意伝える方が有効なこともあります。

とは言え、自社の事業活動などが論争に発展した場合、賛否どちらの意見が多いかを正確な根拠に基づいて見極められる企業はそう多くないはずです。

さらに、仮に自社に賛成する声が多いと判断できたとしても、A社が発表した「満点回答」と言えるほどの声明文を作成できるでしょうか。

ちなみに、A社は声明文の終盤で「特定のお客様だけを優遇する考えはなく、すべてのお客様を大切に思っている」と述べています。

この一文が意味するのは、自らを批判したSNSユーザーも切り捨てないという姿勢です。毅然とした態度を示すだけでなく、温かさが伝わるメッセージも発することで、声明文の発表が逆に火に油を注ぐことになってしまう事態を避けた見事な対応だったと言えます。

ネット論調を正確に把握、万一の際も速やかに鎮静化

シエンプレが提供している危機対応支援サービスは、インターネット上の口コミやニュース記事などを丁寧に拾い上げ、ネガティブとポジティブの論調を正確に分析・把握することから始まります。その結果を踏まえ、今後のリスクの有無やレベルを診断する仕組みです。

万一の際も、非常時には、緊急窓口のコールセンター立ち上げやマスコミ向け記者会見のセッティング・運営、プレスリリースのライティングサポートといった全ての対応を提携会社と連携し伴走支援します。

さらに、事態が落ち着くまでの間、顧客企業に関するネット上の投稿やネットメディアの取り上げ方をモニタリングし、あらゆる状況の変化を見逃さずに報告します。

リアルタイムで汚染される可能性がある検索エンジンで表示される顧客企業の関連キーワードも監視し、不適切な語句や表現がヒットした場合は速やかに鎮静化を図れます。

ネット炎上のリスクを遠ざけ、有事の対応も失敗しないようにするには、高度なデータと知見を活かした迅速かつ的確な判断が欠かせません。炎上の火種をいち早く察知し、騒動が深刻化してしまう前に収束させるデジタル・クライシス対策の強化をご希望される場合は、国内ナンバーワンの契約実績と高い信頼性、豊富なノウハウを誇る弊社まで、お気軽にご相談ください。

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