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企業のSNS人事アカウントは燃えやすい諸刃のツール。炎上を避けるために欠かせない備えを学ぶ

公開日:2022.09.30 最終更新日:2023.06.21

2022年は、企業のSNS人事アカウントの発信が炎上する事例が相次いでいます。ただでさえ「上から目線」と捉えられがちな人事アカウントの不適切投稿に対する世の中の視線は厳しく、企業全体にダメージが及ばないとも限りません。従業員の誤った発信を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか?炎上を早期に収束させる方法と併せてご紹介します。

自社の魅力をアピールできる窓口

「人事」と聞くと、企業関係者の多くは人材の採用や育成、配属管理、労務管理といった仕事を思い浮かべるかもしれません。
しかし、「人事」には「人としてなすべきこと」という意味もあります。
企業における人事部門のあるべき姿は、人的資源(従業員)のパフォーマンスを最大限に引き出すことです。
人事部門が「人としてなすべきこと」を忘れて考課や異動などの権限を振りかざせば、非難の的になるのは道理でしょう。
昨今は、自社の将来性や社風、職場環境などの魅力をアピールして優れた人材の確保に結び付けようと、SNSで人事アカウントを開設している企業も増えています。
そのようなオープンな場所で心ない投稿をしてしまうと、あっという間に炎上に見舞われ、採用活動への悪影響だけでなく企業イメージの失墜を招いてしまう事態にもなりかねません。

退職相談の看護師に「『目標をもて』と言ってやった」

2022年8月に表面化したTwitterの人事アカウントによる炎上トラブルのケースも、「公開パワハラ」などと激しく批判されました。
事の発端となったのは、愛知県のA病院の人事部看護師採用チームの公式Twitterアカウントです。
採用チームの投稿者が、病棟看護師から「やめたい」という相談を受けた際の心境と会話をつづったツイートでした。
投稿者は「3年目だとやめたいと考える時期なのかなぁ…」とコメント。しかし、「『目標をもってないからや、なんか目標をもて』と言ってやった」とアドバイスしたことを明かしました。
この投稿に対し、インターネット上では「価値観の押し付け」「上から目線」などの反発が続出。A病院はTwitter上に不適切投稿の謝罪文を掲載しましたが、8月23日にインフルエンサーが取り上げたことで拡散してしまいました。

「上から目線」と捉えられてはならない

今回の炎上は、2つの要因が考えられるでしょう。
1つは、投稿者に相談した看護師はもちろん、公式アカウントの投稿を見たTwitterユーザーがどう感じるかという想像力が欠落していたことです。
新型コロナウイルスの蔓延が人々の価値観の分断・対立を加速させている中、他者からのマウンティングやハラスメントなど、不快感を覚えさせられる事象に敏感になっている人は少なくありません。
もう1つは、個人ではなく人事のアカウントだったことです。
「言ってやった」という横暴な言葉遣いは、人事アカウントの発信がただでさえ上から目線に捉えられがちなことへの理解が足りていなかったことの表れでしょう。

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仮にどうしても伝えたい企業のスタンスやメッセージがあるとしても、人事アカウントから発信する場合は一定の批判が出ることを想定しなければなりません。
つまり、炎上せずに何かを伝えようとするなら、徹底した準備が欠かせないのです。

不適切投稿が株価の続落を招いたケースも

人事アカウントが引き起こした類似の炎上は、これまでも幾度となく繰り返されてきました。
1月9日には、名刺管理サービスなどを手掛けるB社の人事担当者が個人のTwitterアカウントで会社名と所属部署を明かし、「採用は“採ってはいけない人”を見極める仕事だ」と投稿しました。
これに対し、Twitter上では「『面接で落とされた就活生が見ているかもしれない』という想像力が欠如しているから、こういう発言が生まれる」「『採ってはいけない』要素をチェックするより、就活生の良いところを引き出す面接をするべき」といった批判が続出したのです。
炎上に晒された人事担当者は当該ツイートを削除しましたが、その後の本人のツイートには「言葉は本当に難しいなと改めて」など、お詫びの言葉は一切記されていませんでした。
再度の炎上も招いた結果、B社の株価は続落。ツイートの問題発言を理由に、B社の株を手放す投資家も現れる事態となりました。

口コミ投稿にも書き込まれたネガティブ情報

また、1月31日にはコンサルティング業務を担うC社の人事担当者も、自社名を明かした個人のTwitterアカウントで「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」とツイート。「ブラック」「自身は最低賃金で働いているのか?」といった批判が殺到しました。
実際の求人情報に書かれた「年収360万円~」「固定残業45時間分含む」という労働条件の低さが火に油を注ぐ形となってしまい、Googleビジネスプロフィールの口コミには「人事の方の発言に会社側から何の説明もないことに違和感を覚える」などのネガティブ投稿が次々と書き込まれたのです。

コメント欄を閉鎖しての謝罪文公開に批判

さらに2月8日には、メイクブラシ専門店を運営するD社のInstagram公式アカウントが、求人に関するストーリーズの質疑応答で「ボーナスは『毎月受け取る月給以上の結果を出した人』にしか支給できません」と、あまりに露骨な物言いのコメントを書き込み、炎上を招いてしまいました。
D社は2度にわたり謝罪文を公開しましたが、いずれのタイミングでもコメント欄を閉鎖。外部からの意見を受け付けない印象を与えたことで、「誠意を感じられない」との批判が収まりませんでした。

従業員の軽率な発信を防ぐ「SNS利用研修」

こうした炎上を防ぐには、従業員に軽率な発信をさせないようにするのが一番です。
会社として研修を行い、過去の事例のインプットや直近の風潮を従業員に理解してもらう必要があります。
大切なのは「受け手にどう捉えられるのか」を想像すること。思いつきの感情的な発信を避け、投稿に責任を持てるのかを考えることです。
もちろん、B社の人事担当者の再ツイートのように、火に油を注いでしまうような発信も避けなければなりません。
国内唯一のデジタル・クライシス対策カンパニーであるシエンプレは、eラーニングによる「従業員向けSNS利用研修」のサービスを提供しています。
個人によるSNS利用の注意点はもちろん、他社の従業員が起こした炎上事例と発信者が被った損失を周知することで、炎上についての理解度を高め、炎上リスクの低減に役立ちます。

24時間体制のWeb/SNSモニタリングで先手

また、24時間体制のWeb/SNSモニタリングを導入すれば、炎上に発展しそうな自社関連のコンテンツをいち早く察知し、一大事になる前に対処できます。
一度炎上してしまうと、インフルエンサーに別のリーク情報が集まり、さらに燃え広がる可能性もあるのです。
A病院の投稿も炎上したのは8月18日ではなく、インフルエンサーが投稿した8月23日でした。
ただし、18日の時点でも批判的な投稿は複数あったため、その時点で炎上の予兆をつかんで対策を打っていれば、被害を最小限に留めることができたはずです。

炎上の早期収束を図る安心のサポート

万一炎上した場合の対応も、安心して弊社にお任せください。
公式サイトでのニュースリリースや企業見解の発表に関する的確なアドバイスを実施。必要となればメディアに反論記事や検証記事も掲載し、炎上が収束するまでしっかりとサポートします。
人事アカウントに限らず、SNSは賢いリスクマネジメントを取って上手に使いこなせば、自社のファンを増やせる魅力的なツールです。
炎上をはじめとするデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの取引実績と信頼性、豊富なノウハウを誇る弊社に、ぜひご相談ください。

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