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SNS監視とは?炎上の種の早期発見と適切な初動でデジタル時代のリスクに備える

公開日:2023.04.11 最終更新日:2023.06.14

企業を取り巻く言動に対してネット上で批判が殺到し、拡散する「炎上」で被害を受ける企業が増えています。その大半はSNSに端を発しています。被害を最小限に食い止めるには早期発見、早期対応が欠かせません。そのために最も有効な手段が「SNS監視」です。この記事では、特に自社の炎上を懸念して「SNS監視」を検討している企業向けに、SNS監視が必要な理由、その手法、ツールの種類、選び方などを紹介します。

SNS監視とは

「SNS監視」とはTwitter、Instagram、TikTokなどのSNSの投稿や、掲示板や口コミサイトにおける書き込みの拡散状況などを定常的に把握し、チェックすることです。「SNSモニタリング」とも表現されることがあります。

世の中にあふれる大量の投稿のなかで、組織や個人にとって炎上や誹謗中傷といった問題に発展する可能性がある内容がないか、特定の媒体やキーワードで定点観測し、定期的な確認を行うリスクマネジメントの手段です。

SNS監視を実施することによって、危険な投稿があった場合に、それを早い段階で発見し、炎上して手遅れになる前に対処できる可能性が高まります。また、SNS監視を、危機管理の意味合いだけでなく、自社の製品開発やサービスの品質を高めるための情報収集、ソーシャルリスニング機能として活用する企業も増えています。

SNS監視が重要な理由

8千万人が利用するSNSに潜むリスク

日本のSNS利用者は右肩上がりに増加して8千万人を突破しました。誰もがスマホやパソコンで発信できる時代です。SNSは手軽に意見や感想をつぶやいたり、賛否にかかわらず元の投稿や画像、動画を拡散が拡散できます。それゆえ、たった1人の不用意な発言、配慮に欠けたつぶやきによって企業全体が批判を浴び、揺らぐケースもあります。

全国的に企業の炎上情報が広がると、風評による商品の買い控えや、ブランドイメージの悪化などの経営への影響が現れます。場合によっては営業停止や販売停止につながることもあり、損失が拡大します。SNS監視は「炎上」の火種を早期に発見し、早い段階で適切な対応をとるための備えと言えます。企業経営を安全、安心、安定的に進めていくためにSNS監視が欠かせない時代です。

SNS拡散力の脅威、加速度的に炎上が拡大

SNS監視が重要視されている背景には、その拡散力の脅威があります。典型的な炎上のメカニズムには必ずと言っていいほど、SNSに端を発したり、SNSが介在しています。

炎上のメカニズム

問題となる事象が発生した直後、Twitterなどで拡散し「1次炎上」し、それらをもとに掲示板やまとめサイトで関連ページが立ち上がることで、マスメディアやネットニュースメディアが放送、記事化。さらにそれが、Twitterなどで拡散されて「2次炎上」に発展するケースも少なくありません。だからこそ、炎上への対応は初動が重要です。SNS監視で早めに火種を発見し、早期に対応することで炎上を未然に防いだり、致命的な炎上を食い止めることが可能になります。

SNSの投稿が炎上に発展した事例

SNSの投稿によって炎上に発展した主な事例を紹介します。いずれの事例もSNSの投稿内容を監視し炎上に発展する事象の早期発見と適切に対応していれば結果は変わっていたかもしれません。

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抑え込み難しい SNSの問題投稿

ネット炎上は、2021年に1766件発生(1日4.8件ペース)し、前年比で24.8%増。その主体の3分の1は企業です。炎上の大半はSNSに端を発しています。自社関連の要因による炎上は、未然に防ぐことが理想ですが、全方位的に火種になる投稿を抑え込むのは極めて困難です。投稿は従業員によるものだけでなく、顧客や第三者の場合による場合もあるからです。組織に関わる書き込みをする人は主に以下の4つに分類されます。

高まるSNS監視の重要性

SNSは、手軽で便利な反面、指数関数的に一気に炎上に発展しかねないSNSの拡散力と、自社だけでは問題投稿をコントロールすることが難しい背景から、SNS監視のニーズが日ごとに高まっています。ただ、日ごろからSNS監視を実践していれば、火種となりうる発言や投稿をいち早く発見して対応することが可能になったり、万一炎上に発展してしまった場合にも早期に適切な対応をとることが可能になります。

監視すべきSNSサイト

SNSのなかでも、自社の炎上を懸念している企業が最も監視すべきSNSはTwitterです。Twitterは1投稿140字(全角文字)の「つぶやき(ツイート)」と呼ばれる短文投稿の性質上、ログインしているユーザー同士がリアルタイムでチャットのようなやり取りをしやすいツールです。手軽にコメントを添えて元の投稿をリツイートできる拡散力に加え、匿名性が高いため、個人が特定されにくい安全領域から、たやすく企業や人を非難できたり、貶められる側面もあります。

過去のTwitterによる企業の炎上事例は枚挙にいとまがありませんが、代表的なものをご紹介しましょう。

Twitterの動画掲載で炎上が加速

Twitterは2015年以降、写真だけでなく動画(ビデオ)が掲載できるようになりました。そのことも炎上リスクがさらに高まった一因です。写真画像よりも、臨場感があるため、視聴者が感情的になり、拡散が加速しやすい傾向があります。

2016年にコンビニエンスストアのおでんのネタを指でつつき、その映像を投稿した男性が炎上、その後威力業務妨害などの容疑で逮捕されたケースも、拡散を加速度的に助長したのはTwitterでした。

最近では公道で「あおり運転」を受けた被害者や目撃者が、その状況をTwitterで投稿、もしくは拡散するケースも増えています。

Twitterよりも実名性が高く、リアルコミュニティ間での投稿が盛んなFacebook、企業のブランディングで活用されることも多いInstagram、若年層に人気のtiktokについても、Twitterほどの炎上には繋がりにくいものの注意が必要です。

掲示板、5ch、Googleレビュー、採用系口コミサイトも注視を

SNSではないですが、匿名性が高く、安全圏から非難しやすい特徴を持つ5chや、Googleレビュー、各種業界別口コミサイト、特に採用系の口コミサイトもネガティブな記載がされやすい特徴があり、注視が必要です。簡易なチェック方法としては網羅性は高くないですが、目立つものを見つけるために、社名をGoogle検索して結果をウォッチすることも重要です。

SNSの監視方法

SNS監視にはまず、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 監視対象のSNSやWebサイトを設定
  2. 各SNSやWebサイトの巡回方法の決定※
  3. 巡回頻度の決定
  4. 監視キーワードの設定(何を監視するか、監視ボリュームの確認が必要)
  5. 監視目的の設定(何をどこまで知りたいのか、知ってどうしたいのか)

※2の巡回方法の決定に関しては、監視対象のSNSやWebサイトの最新情報のみを監視するのか、キーワードを設定して監視するのか、そもそも人の目視で確認をするのか、システムやツールを使って監視するのかなどの選択肢から必要に応じて決定します。

さらに、その方法論には以下の3パターンがあります。

  1. 無料ツールで自らチェックする
  2. 有料ツールで自らチェックする
  3. 外部の専門家へ委託する

無料ツールで自らチェックする

最も簡易なSNS監視は、無料ツールを使って自前でチェックする方法です。無料ツールには以下のようなものがあります。

Yahoo!リアルタイム検索
Twitter検索
Googleアラート
・炎上の発端になりやすいアカウントをフォローする

上記の無料ツールによる監視のメリットは、コストがかからないことです。投稿や書き込みがそれほど多くなければ、社内担当者が主な業務の合間に対応できます。一方、デメリットはチェックすべき投稿や書き込みが増えたり、チェック仕切れない量に及ぶ場合、担当者にとってはかなりの負担となり、対応できなくなることです。

また、担当者の主観に左右される属人的なフィルターによるチェックがなされるため、見逃したり、本来チェックすべきものをスルーしたりすることもあります。さらには、実際に炎上の火種をみつけても、どうすればいいか、対処の仕方が難しい場合があります。

有料ツールで自ら使ってチェックする

SNS監視をするために様々な企業が有料ツールを提供しています。主なものを紹介します。

モニタリングDX(高性能AI搭載モニタリングツール)

主な特徴
・人の限界を超えたAI搭載モニタリングツール
・SNS投稿・口コミ仕分けの手間を大幅に削減する高性能AI搭載

炎上保険(保険付帯型モニタリングサービス)

主な特徴
・日本初の保険付帯型モニタリングサービス
・何が原因で炎上するか予測不能なインターネット上の風評や誹謗中傷に備えるサービス

BuzzSpreder Powered by クチコミ@係長

主な特徴
・国内最大級のデータ量を保有、キーワード入力だけで簡単にクチコミ分析が可能なソーシャルリスニングツール

ソーシャルリスニングツール Buzz Finder

主な特徴
・企業のブランドセーフティを強固にする費用対効果の高いツール
・Twitter公式全量の投稿をほぼリアルタイムで分析、複数のメディア投稿や過去投稿の分析

有料ツールのメリットデメリット

有料ツールによる監視のメリットは、対象のSNSやサイトをパトロールする手間や時間を省けることです。サービスによっては「アラートメール」などで危険を周知します。

一方、デメリットはコストが発生すること。特に検索ワードごとに課金されるケースが多いため、社名とは別に、商品名・サービス名などで検索したい場合はその分、コストがかさむことになります。

「死ぬほどうまい」は、ネガティブかポジティブか?

有料ツールの解析精度や対象とするメディアの範囲にもばらつきがあり、注意が必要です。ツールによっては文脈で精査し、機械学習で精度を自動的に上げていくものがある。

一方、情報収集はできても、その仕分けがなされないものもあります。それによって、対象の投稿がツールだけでは、「ネガティブ」なのか「ポジティブ」なのか、判断がつきにくいこともあります。

例えば、「死ぬほどうまい」などといった投稿例です。

「死」といった「危険」な表現が、究極のポジティブ表現としてSNSや飲食業のレビューなどでは散見されますが、一律にネガティブな表現に仕分けされてしまうケースでは、結局、マンパワーでチェック、判断することになります。

有料ツールには、評価対象の語句やキーワードを辞書に照らし合わせて評価する辞書一致型のSNS監視ツールと、本文の文脈(コンテクスト)を読み解き、その語句やキーワードが本質的にネガティブなのかを評価する、文脈評価型モニタリングツールに別れます。有料のSNS監視ツールを選定する際には、そのツールの特性を確認しましょう。

モニタリングDX - 人の限界を超えたAI搭載モニタリングツール

人の限界を超えたAI搭載モニタリングツール。SNS投稿・口コミ仕分けの手間を大幅に削減します。料金は月額85,000円か…

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SNS監視を外部委託する

ツールによる監視(モニタリング)、アラート通知に加え、目視による精査のプロセスを経て、定期的にそのリポートを作成、報告するサービスがあります。

シエンプレ Web/SNSモニタリング
エルテス Webリスクモニタリング
アディッシュ インターネットモニタリング

炎上予防専門のノウハウがある業者への外注のメリットは、SNS精査にかかわる負担がほぼ省けることです。反面、コストがかかり、実際に炎上の火種を発見しても、対処の判断が難しいことなどがデメリットとして挙げられます。

炎上の火種、見つけた時の対処法

炎上に発展しかねない、火種になるような投稿を見つけた場合、どう対処すればいいのでしょうか。

事前に「適切な対応が何か」を作成しておくことが理想ですが、そのうえでネット上の反応を調査、分析して臨機応変なアクションをとることも重要です。その際に、上記で挙げたSNS監視ツールや業者を活用することは有効です。

炎上の火種に対しては、削除に動く、企業の見解を発信する、放置する、などの選択肢がありますが、万が一炎上の火種が合った場合、対応のスピードが重要となるケースが多くあります。

2013年発生のチロルチョコの賞賛事例

「チョコレートにイモムシがいた」とした女性の写真付きのツイートが瞬く間にTwitterで拡散。しかし、チロルチョコ側は投稿から僅か3時間後には「芋虫は製造過程で混入したものではなく、発送された後に混入した」という内容を専門家の鑑定結果と共に公表しました。すると、それまでは否定的なコメントで埋め尽くされていたtwitter上の論調が一変。チロルチョコを擁護し、対応を賞賛する声で溢れました。Twitter投稿を監視し、早期発見、早期対応できたからこそ、ピンチを脱したケースでした。

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