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ステマ「炎上」が企業を追い詰める!消費者意識に細心の注意を

公開日:2020.04.30 最終更新日:2023.06.21

ミクロ経済学で使われる言葉のひとつに、「シグナリング」があります。

一般社会では、あまり聞き慣れないかもしれません。
シグナリングとは、情報の非対称を解決するため、情報を多く持っている側が持っていない側に多くの情報を提供し、安心してもらおうとする行動を指します。

例えば、ある商品やサービスを売買する際、それらの情報を多く持っているのは売り手(企業)です。情報が少ない買い手(消費者)の信用を得るため、売り手が買い手に多くの情報を提供するのがシグナリングというわけです。

米国の哲学者、マイケル・サンデル氏は、ベストセラーとなった2012年の自著「それをお金で買いますか 市場主義の限界」(早川書房)で、シグナリングの形態について次のように説明しました。

「すぐれた製品を持つ企業が高額な広告を打つのは、顧客に購入を直接勧めるためだけでなく、大金のかかる広告キャンペーンを展開するほど品質に自信があるという『シグナル』を送るため」

商品やサービスを購入してもらうために高額な広告キャンペーンが不可欠かどうかは別としても、「品質に自信がある」というシグナルを発信できない商品やサービスは市場の信頼を得ることができないでしょう。

もちろん、「自信」に満ちたシグナルの裏付けが虚偽だったり曖昧だったりすれば、信頼どころか怒りや反発を招くことになりかねません。
売り手が買い手に送るシグナル、つまり宣伝の中身は、常に明確かつ正しいものであるべきなのです。

消費者の「知る権利」を侵害

こうした中、インターネットの普及で問題視されるようになった宣伝手法があります。
消費者に宣伝と悟られないように宣伝するステルス・マーケティング、いわゆる「ステマ」です。

なぜ、ネットの普及でステマが問題視されるようになったのでしょうか。

それは、冒頭で述べたシグナリングとも関係があります。
情報の多い側が少ない側にアプローチするのがシグナリングであるのに対し、情報の少ない側が多い側から引き出そうとするのが「スクリーニング」と呼ばれる行動です。

ネットの普及は、レビューや口コミのサイトへの投稿を容易にしました。
消費者は企業のシグナリングを待つだけでなく、その商品やサービスを実際に体験した人の感想も入手しやすくなったのです。

企業の一方的な発信ではなく、自分たちと同じ消費者目線の情報を知りたいというスクリーニング欲求に忍び寄り、営利目的を伏せたままプロモーションをするのがステマです。
発信者の立場を偽った情報で信頼を得ようとする行為は、「正しい情報を知る」という消費者の権利を侵害していることにほかなりません。

不当な「優良誤認表示」に当たる可能性も

ステマについて法律や業界団体が定めた明確な定義は存在しませんが、WOMマーケティング協議会のガイドラインには以下の記述があります。

・広告主がいるにも関わらず、広告主が明示されない広告
・広告という形態を取らずに行われるマーケティング活動で主体が明らかにされないもの
・本来の広告主とは異なる名称の主体によって行われるマーケティング活動

同協議会が、これらの共通点として挙げているのは「主体が明らかにされていない」ということです。

十分な根拠がないのに口コミサイトで「この商品は最高!」と謳(うた)った場合、景品表示法の違反事項である「優良誤認表示」と判断される可能性があります。

優良誤認表示は、消費者に「実際より著しく良いもの」と思わせるものです。
ステマを直接的に取り締まる法律がない以上、それがただちに違法ということにはならないかもしれませんが、こうした不当表示の禁止に違反する行為は、内閣総理大臣名で差し止めなどを命じられる可能性があります。

しかし、ステマが疑われる行為には、さらに恐ろしい代償が待ち受けているかもしれません。最悪の場合、企業活動にとって致命的なダメージを受けることもあるでしょう。

その引き金となるのが、SNSなどの「炎上」です。

映画やアニメ会社、市役所も…後を絶たないステマ騒動

2019年10月、SNSを使ったあるステマ疑惑を追及する新聞記事が、ネット上でも公開されました。

記事によると、人気漫才コンビ「M」が京都市から計100万円もの報酬を得た宣伝行為であることを明示しないまま、市の施策などをPRするツイートを繰り返したというのです。

ツイートには「#京都市盛り上げ隊」「#京都市ふるさと納税」というハッシュタグをつけていたこともあり、京都市とMの所属事務所はそろって疑惑を否定しましたが、広告の明記がないことから批判の声は激しさを増すばかりでした。
「炎上」の火の手に落ちた両者のブランドイメージが低下してしまったのは言うまでもありません。

その年の12月には、世界的にヒットした米アニメーション映画「A」の続編をめぐるステマ疑惑も発覚しました。

問題となったのは、クリエイター(漫画家)7人が同じ日の同じ時間帯に投稿したツイートでした。それらは漫画形式で続編の出来栄えを絶賛した点だけではなく、投稿時間まで共通していたのです。

Twitter上では「映画製作会社が主導した『広告』ではないのか」という指摘が広がり、瞬く間に「炎上」に至りました。

猛批判を浴び、そろって謝罪に追い込まれた映画製作会社とクリエイターたち。
続編をPRするどころか、イメージを傷付けることになってしまいました。

そして、2020年2月。漫画アプリ「R」の運営会社がTwitter上に一般人を装ったアカウントを複数開設し、おすすめ漫画を紹介していたことが発覚しました。

アカウントを不審に思ったネットニュースの編集部が問い合わせたところ、この運営会社は前年の春から夏にかけ、該当アカウントでプロモーションのツイートを繰り返していたことが分かったのです。

運営会社は謝罪した上で該当アカウントを停止しましたが、Twitterは「炎上」。
「本当にお詫びする気があるのか」「利用する気がなくなる」などの猛批判を浴びました。

「認識がなかった」は消費者に通用しない

これらの事例に共通するのは、いずれの企業・団体も「ステマの認識はなかった」と釈明した点です。

しかし、ステマ防止に向け、広告業界で広く参照されているWOMマーケティング協議会のガイドラインは、口コミを宣伝に使う際には【PR】【Sponsored】といった表記をするなど「広告主と発信者の関係性」を必ず明示するよう定めています。

さらに、広告主から商品やサービスの宣伝を依頼された発信者も、SNSなどでの発信時にはその旨を記載しなければなりません。

近年は、世の中に大きな影響を与える著名人を宣伝に起用するインフルエンサー・マーケティングも盛んです。
しかし、運用に失敗して「炎上」した例は枚挙にいとまがありません。

それらの原因が、SNS上でガイドラインに反する発信を行ったことにあるのは明らかです。
「ステマの認識はなかった」という企業側の釈明も、そうした行為に敏感な消費者の心理を軽視していたことの表れと言わざるを得ないでしょう。

WOMマーケティング協議会の実態調査(2018年11月)では、回答した消費者の51.9%が「不快に感じる」と反応。「裏切られた感じがする」(28.6%)、「商品やブランドが嫌いになる」(24.7%)、「わざとらしさを感じる」(23.7%)と、ネガティブな感想が続きました。

広告活動の「炎上」リスクチェックを

ステマのような不誠実な広告は、企業もインフルエンサーも、消費者も幸せにしません。
それどころか、企業にとって一度失墜したブランドイメージの回復は、多大な時間と労力を費やしても叶わないことが多いのです。

シエンプレは広告の画像やテキストなどの「炎上」リスクを洗い出し、消費者に批判されかねない要素を含んでいないか綿密にチェックします。

クリエイティブ・リスク、インフルエンサー・リスクの診断と対策に関するご相談なら、「炎上ストッパー」として豊富な実績とノウハウを誇る弊社にお寄せください。

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