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国際カミングアウトデーから学ぶ謝罪対応とクリエイティブチェックの重要性

公開日:2023.02.01 最終更新日:2024.03.21

※この記事は雑誌『美楽』2023年2月号の掲載内容を転載しております。

「国際カミングアウトデー」である2022年10月11日、二社の企業(A社・B社)がSNSで自社をPRする投稿をしたことにより、炎上する事態が発生しました。国際カミングアウトデーとは本来、性的マイノリティをカミングアウトするLGBTQの人々を支援し、認識の向上を目的とする記念日です。その国際カミングアウトデーの意図とは異なった投稿が批判を浴び、炎上する結果となってしまったのです。

多くの批判を浴びたA社とB社ですが、炎上後の2社の対応には違いがありました。A社は、公式SNS上に謝罪文を掲載。その内容は何に対して謝罪をしているのかを明確にしたものでした。謝罪後、関連投稿は減少し、事態は収束に向かいました。一方で、B社も謝罪文を掲載したものの、その内容は何に対して謝罪をしているのかが不明確なものでした。「ご不快構文」と呼ばれるテンプレートのような文章だったことから「とにかく謝罪しただけ」「どこが悪かったのか理解していない」など、同社を批判する声が再度上がったのです。また、問題の投稿を削除したことも証拠隠滅を図ったという印象を与えてしまったと推測できます。

実は、昨年も国際カミングアウトデーに関連付けた企業のPR投稿はいくつか確認されています。しかし、それらはいずれも今回のように炎上に至ったものはありませんでした。過去に炎上しなかったものが現在も炎上しないとは限らないのです。安易に過去の企画を採用するのではなく、都度クリエイティブチェック(※)をしていくことが必要です。

一度炎上をすると、株価の暴落や不買運動にまで発展するなど、企業のブランドイメージの低下に繋がります。また炎上することで、プロモーションにかけた制作費が無駄になるだけでなく、炎上に関する問い合わせが増えるなどイレギュラーな対応に追われ、通常業務が難しくなることも考えられます。さらに炎上することで消費者の目は厳しくなり、今まで以上にプロモーションのリスクを考える必要があります。

このように炎上した場合の損害を考えると、クリエイティブチェックの重要性は高いといえます。一方で、クリエイティブチェックは自社のみでは対応が難しいという側面もあります。自社でチェックする場合、限られた担当者で対応することが多く、長期間の論調分析や多角的な視点での分析は困難です。また仮に自社でチェック体制を整備したとしても、膨大な時間や労力、コストがかかると言えます。
こうした観点からも、リスクを判断する「ストッパー役」を社内から独立して置き、炎上を未然に防止する体制が理想であると言えるでしょう。

※ クリエイティブやプロモーションを展開する際、長期間の論調分析や多角的な視点でチェッを行い、炎上のリスクを検証すること

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