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乳製品メーカーの炎上から学ぶフェイクニュースの対処法

公開日:2023.05.01 最終更新日:2024.03.21

※この記事は雑誌『美楽』2023年5月号の掲載内容を転載しております。

2022年12月、大手乳製品メーカーA社が販売する商品に関するデマ情報がSNSで拡散されました。発端となったのは「パッケージに記載はないが実はマーガリンが30%配合されている」と、同社が原材料を偽っている旨を主張した投稿です。

問題の投稿に対し、ネット上では当初から投稿者を批判する声が多数ありました。情報に全く根拠がないことに加えて、投稿者がこれまでにも同社の商品に対してデマを複数回ツイートしていたためです。後日、ネットメディア各社は「偽情報」「根拠不明」といった見解を発表。問題の投稿が削除されたこともあり、さらに同社を援護・応援する声が上がりました。

今回の騒動に対し、A社は公式サイトや公式ツイッターアカウントなどからの公式発表を一切していません。しかし、メディアの取材にはしっかりと応じ、投稿の内容について事実無根であると完全に否定。そして「対応を検討中」であるとコメントしていました。

これらの対応から推測できるのは、同社は当初からデマ情報だという声がネット上で拡がっていることを把握したうえで、あえて大きな動きを取らなかったのではないかということです。ネットメディア各社からの発信により、誤った情報であることが証明される流れを想定していた可能性が高いと考えられます。

炎上への対応は、企業の質やレベルが表れる指標のひとつとして消費者から見られています。本件は企業側の動きを最小限に留めながらも、効果的に事態を収めた好事例といえるでしょう。

SNSが幅広い世代に普及した昨今、いつフェイクニュースに巻き込まれてしまうかはわかりません。フェイクニュースと思われる情報が確認された場合は、まず事実や証拠(エビデンス)の調査が必要です。事実ではないと一方的に決めつけるのではなく、発信された内容の真偽を検証することが求められます。また発信者の特性を確認することも重要です。発信者がどのような人物(団体)なのかを確認し、場合によっては、直接発信者とやり取りしないほうが良いケースも考えられます。
そして、フェイクニュースと思われる情報が拡散される可能性がある場合は、情報の削除を依頼することも良いでしょう。すでに情報の削除依頼や申請が難しいほど拡散している場合は、自社の公式リリースなどで、自社の見解を示す方法なども考えられます。

このように、自社に対するフェイクニュースと思われる情報が確認された場合は、慎重に対応を進める必要があり、更に様々な対応策を検討する必要があります。
そしてこれらの危機対応の準備として、平時からモニタリングを実施し、常に自社に対するユーザーの声を理解しておくことが求められているのです。

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