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外食チェーン店の炎上から考える企業がすべき対策とは

公開日:2023.06.01 最終更新日:2024.03.21

※この記事は雑誌『美楽』2023年6月号の掲載内容を転載しております。

2023年2月、大手飲食チェーンA社が炎上する事態が発生しました。炎上の発端は、元従業員からインフルエンサーへの内部告発です。元従業員は「手を洗うと嫌な顔をされる」「期限切れの食材を使用している」「マニュアルを守ると怒号を浴びせられた」など、入社からわずか1ヶ月で退職を決めた理由を全社員共通のグループチャットに投稿。そのスクリーンショットをインフルエンサーがSNSで拡散したことにより、不適切な衛生管理やパワハラの存在など、同社の内情を多くの人が知ることとなったのです。また、この炎上が発端となり、他の退職者や現役の従業員による内部告発もインフルエンサーのもとへ次々と集まりました。

騒動を受け、A社は公式サイトにプレスリリースを発表。告発内容の一部を事実と認め、謝罪をしました。今回の炎上により同社の株価は約5%下落。時価総額にして約7億円が失われる結果となってしまったのです。

SNSが幅広い世代に浸透した昨今、今回のようなネット告発による炎上事案は後を絶ちません。2022年7月には有名飲食チェーン店のB社の元従業員が、勤務していた店舗が大量の害虫の出る不衛生な環境であることを写真とともにツイート。この投稿が要因となり、運営元企業の株価が下落し、時価総額にして約47億円の損失が発生しました。
また2019年の大手総合科学メーカーのC社では、「夫が育児休業明け2日で関東から関西への転勤を命じられた」と妻がツイート。夫の勤務先であった同社に対して批判が集中しました。これにより、同社の株価が下落。時価総額にして約60億円が失われただけでなく、内定者の辞退が続出するなどの影響を受けたのです。

弊社の調査によると、2022年の法人の炎上は555件、1日あたり1.5件の炎上事案が発生しています(※)。また、炎上の悪影響は株価の下落だけではありません。炎上を知ったユーザーの約6割が商品・サービスの利用を停止、再検討することや、求職者の約7割が応募を止めたり、面接を辞退したりするなどの影響があることが明らかになっています。メディアの対応スピードも高速化しており、炎上事案の約6割が24時間以内に放送・記事化されています。

こうした炎上を未然に防ぐためには、有事に想定した危機管理マニュアルの作成やモニタリングによって、炎上の火種を早期に発見し、スピーディかつ的確に対応できる体制の構築が重要です。また、今回の事案のようにSNSが火種となるケースは多数存在します。企業の公式SNSによる不適切投稿が炎上するケースも多いことから、SNSポリシーや利用規約、ガイドラインの整備も重要といえるでしょう。これらをしっかりと整備し、社内に浸透、教育させていくことで、炎上リスクを大きく減らすことが可能なのです。

※ シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所発表の調査データ

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